未治療の切除不能な肝細胞癌(HCC)に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)とソラフェニブの併用を検討するフェーズ2試験(SOCRATES試験)において、無増悪期間(TTP)と全生存期間(OS)が延長し、病勢コントロールも良好となる結果が示された。6月3日から7日にかけてシカゴで開催された第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、ドイツHeinrich Heine UniversityのA. Erhardt氏が発表した。

 HCCに対するTACEとソラフェニブの併用は、塞栓と血管新生阻害により二重に血管新生を標的とすること、局所と全身に対する化学療法であること、TACEで使用するドキソルビシンとソラフェニブの相乗効果が報告されていること――などが根拠となっている。

 Erhardt氏らは、前向き、非無作為化、多施設共同、フェーズ2のSOCRATES試験を行い、TACEとソラフェニブの併用について検討した。

 対象は、組織学的に確認された切除不能またはミラノ基準を超えるHCCで、Child-Pugh分類が8点以下、総ビリルビン値が4.5mg/dL以下などの条件を満たす、治療歴がない患者。

 ソラフェニブ400mgを1日2回投与し、TACE施行3日前に投与を中止、TACE施行1日後に再開した。TACEにはドキソルビシン50mgとリピオドールを使用し、6週間を1サイクルとした。主要評価項目はTTPとした。

 2007年12月から2009年12月までに45人が登録され、ソラフェニブの投与を1回以上受けた患者は43人(平均年齢69歳、男性37%)となった。病因ではHCVが30%、HBVが16%で、Child-Pugh分類ではAが81%、Bが19%だった。

 患者はTACEを平均2.6±2.2回(範囲:0-10回)受け、治療サイクルの平均は8.3±7.4回(同:0-28回)だった。

 その結果、TTPは18.9カ月、OSの中央値は20.1カ月となり、過去の試験と比べて大きく延長する結果が得られた。

 RECIST基準による評価では、完全奏効(CR)は0%、部分奏効(PR)は2人(4.7%)、安定状態(SD)は32人(74.4%)となった。進行(PD)は2人(4.7%)だった。また欧州肝臓研究学会(EASL)の基準による評価では、CRは3人(7.0%)、PRは18人(41.9%)、SDは11人(25.6%)、PDは4人(9.3%)だった。

 患者の10%以上に発現した有害事象は、下痢、手足症候群、食欲不振、無力症、体重減少の順に多かった。

 本試験では39の重篤な有害事象(SAE)が観察され、グレード3では肝性脳症(3人)が最も多く、腎不全(2人)、肝膿瘍、下痢、肺炎、二枝ブロックまたは心房細動(各1人)などが続いた。グレード4では肝不全(2人)が最も多く、肝性脳症、腎不全、肝膿瘍、二枝ブロックまたは心房細動(各1人)などが続いた。

 Erhardt氏は「本試験の結果は、現在進行中のフェーズ3試験で確認される必要がある」としている。