ステージII、III直腸癌に対する術前化学放射線療法として、カペシタビンの効果は5-FU持続静注と同等であることが、NSABP (National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project) R-04試験で明らかになった。またカペシタビンあるいは5-FUにオキサリプラチンを追加しても上乗せ効果は見られず、毒性が強くなることがわかった。6月3日から7日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、米M.D.Anderson Cancer CenterのMark S.Roh氏らによって報告された。

 海外では、進行直腸癌に対し、5-FU持続静注を用いた化学放射線療法が標準治療とされているが、遠隔再発率が24-30%といわれ、より効果のある化学療法が求められている。

 NSABP R-04試験ではステージII、III直腸癌を対象に、術前の放射線療法(計4600cGy、追加照射として計540-1080cGy)と同時に投与する最適な化学療法を決めるため、4つの化学療法レジメンが比較された。

 化学療法レジメンは、5-FU持続静注(225mg/m2週5日)、もしくは5-FU持続静注(225mg/m2週5日)+オキサリプラチン(50mg/m2/週×5)、もしくはカペシタビン(825mg/m21日2回 週5日)、もしくはカペシタビン(825mg/m21日2回 週5日)+オキサリプラチン(50mg/m2/週×5)とした。

 試験は5-FU持続静注に対するカペシタビンの非劣性、および5-FU持続静注あるいはカペシタビンへのオキサリプラチン追加による優越性が検証された。なお2004年7月に試験が開始された当初は5-FU持続静注とカペシタビンの2群比較だったが、2005年10月にオキサリプラチンが加わり、2×2 factorial designに修正された。2010年8月までに1608人が登録された。

 その結果、病理学的完全奏効(pCR)は、5-FU群が18.8%、カペシタビン群が22.2%で、有意な違いがなかった(p=0.12)。またオキサリプラチンの有無を比較すると、オキサリプラチン非投与群では19.1%、オキサリプラチン投与群は20.9%と、これも有意差がなかった(p=0.46)。

 肛門括約筋機能温存手術(SSS)の施行率は、5-FU群が61.2%、カペシタビン群が62.7%だった(p=0.59)。オキサリプラチンの有無でも、オキサリプラチン非投与群では63.6%、オキサリプラチン投与群は60.4%と有意差は示されなかった(p=0.28)。

 さらに、治療開始前はSSSの適応ではなかった患者が治療によってSSSの適応となった割合も、5-FU群が20.7%、カペシタビン群が23%(p=0.62)であり、オキサリプラチン非投与群では23%、オキサリプラチン投与群は19.2%と有意差がなかった(p=0.48)。

 安全性については、オキサリプラチンを投与した群ではグレード3/4の下痢が15.4%と、非投与群の6.6%に比べ有意に多かった(p=0.0001)。しかし手術による合併症は、5-FU群で34.92%、5-FU+オキサリプラチン群で37%、カペシタビン群が36.89%、カペシタビン+オキサリプラチン群は40.2%と大きな違いはなかった。

 これらのことから、Roh氏は「術前放射線療法と同時に投与するカペシタビンの効果は、5-FU持続静注と同じであり、オキサリプラチンは追加すべきではない」とし、「局所再発や無病生存期間、全生存期間を評価するため、長期的なフォローアップが必要である」と述べた。