進行肝細胞癌に対し、スニチニブとソラフェニブは無増悪生存期間(PFS)や奏効率は同等だが、全生存期間(OS)はソラフェニブの方が有意に長く、スニチニブは優越性も非劣性も示せなかったことが、オープンラベルフェーズ3試験SUN1170で明らかになった。また重篤な有害事象はスニチニブで多かったことから、試験は途中で中止されている。6月3日から7日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、台湾National Taiwan University HospitalのAnn-Lii Cheng氏らによって報告された。

 SUN1170試験は、ソラフェニブのSHARP試験のデータをもとに、ソラフェニブを比較対照群として、スニチニブの優越性ならびに非劣性を検証することを目的に行われた。なおSHARP試験はソラフェニブ400mgを1日2回投与する群とプラセボを投与する群を比較した試験で、OS中央値がプラセボ群の7.9カ月に比べて、ソラフェニブ群は10.7カ月と有意に改善した。このためスニチニブのOS中央値は13.3カ月、非劣性の場合は9.5-11.5カ月と想定された。

 SUN1170試験の対象は、進行肝細胞癌で、全身化学療法による治療歴がなく、ECOG PS 0-1、Child-Pugh Aの患者。スニチニブ 37.5mg/日を連続投与する群とソラフェニブ400mgを1日2回投与する群に無作為に分けた。主要評価項目はOS、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)と無増悪期間(TTP)、安全性とされた。

 独立データモニタリング委員会の審査で、死亡が457人になり、スニチニブで重篤な有害事象が多く発生し、ソラフェニブに比べ生存への利益が期待できないことから、2008年7月から2010年5月までに1074人が集積した後に登録は中止された。

 スニチニブ群(530人)とソラフェニブ群(544人)の年齢中央値は両群とも59歳、男性がそれぞれ82%、84%を占め、アジア地域(中国、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ)の患者の割合が76%、75%だった。腫瘍血管浸潤・肝外進展は79%、76%で見られ、肝動脈化学塞栓療法 (TACE)が3コースを超える患者が15%、17%。B型肝炎ウイルス感染が55%、53%で、C型肝炎ウイルス感染が21%、22%だった。

 相対的用量強度(dose intensity)の中央値はスニチニブ群が67%、ソラフェニブ群が71%、1年以上治療継続できた患者の割合がそれぞれ26%、55%で、治療中断が69%、56%、用量の減量が48%、69%の患者で行われた。

 ITT解析で、OS中央値はスニチニブ群が7.9カ月(95%信頼区間 7.4-9.2)ソラフェニブ群が10.2カ月(同 8.9-11.4)で、ハザード比は1.30(同 1.13-1.50)、p=0.001であり、Cheng氏は「進行肝細胞癌患者において、スニチニブはソラフェニブに比べ、OSに対する優越性も非劣性も示さなかった」と述べた。

 一方、PFS中央値は3.6カ月(95%信頼区間 2.8-4.1)、3.0カ月(同 2.8-4.0)、ハザード比は1.13(同 0.99-1.30)、p=0.1215で、TTP中央値は4.1カ月、3.8カ月、ハザード比は1.13(同 0.98-1.31)、p=0.1688と、2群間で有意差はなかった。また抗腫瘍効果は、完全奏効がスニチニブ群は2人、ソラフェニブ群は1人、部分奏効が33人、32人、12週以上の病勢安定が232人、247人であり、臨床有益率が両群とも51%だった。

 サブグループ解析で、アジア地域とアジア地域以外で分けたところ、アジア地域ではOS中央値がスニチニブ群では7.7カ月、ソラフェニブ群が8.8カ月、ハザード比が1.21(95%信頼区間 1.03-1.42)、p=0.0171。アジア地域以外では9.3カ月、15.1カ月、ハザード比は1.64(同 1.2-2.26)、p=0.0036。

 PFS中央値は、アジア地域ではスニチニブ群が2.9カ月、ソラフェニブ群が2.8カ月、ハザード比が1.03(95%信頼区間 0.88-1.20)、p=0.393と有意な違いがなかった。アジア地域以外では4.2カ月、5.6カ月、ハザード比が1.46(同 1.07-2.00)、p=0.0182。

 TTP中央値は、アジア地域ではスニチニブ群が4.0カ月、ソラフェニブ群が2.8カ月、ハザード比が1.03(95%信頼区間 0.88-1.21)、p=0.385。アジア地域以外では5.0カ月、6.1カ月、ハザード比が1.41(同 1.00-1.99)、p=0.0495。

 またB型肝炎ウイルス感染者のOS中央値は、スニチニブ群が7.6カ月、ソラフェニブ群が8.0カ月、ハザード比が1.10(95%信頼区間 0.92-1.33)、p=0.1714で、有意差がなかった。しかしC型肝炎ウイルス感染者のOS中央値は、スニチニブ群が9.2カ月、ソラフェニブ群が17.6カ月、ハザード比が1.52(同 1.09-2.13)、p=0.0165で、スニチニブ群のほうが短かった。

 グレード3/4の主な有害事象は、血小板減少がスニチニブ群では30%、ソラフェニブ群は5%、好中球減少が25%、3%、白血球減少が13%、1%未満と、スニチニブ群で多かったが、グレード3の手足症候群はスニチニブ群で13%、ソラフェニブ群は21%だった。またグレード3以上の出血がスニチニブ群では12%、ソラフェニブ群は5%、投与中の死亡はそれぞれ17%、15%だった。