経口マルチキナーゼ阻害剤lenvatinib(E7080)が、放射性ヨード抵抗性の進行性分化型甲状腺癌において59%の客観的奏効率(ORR)を達成し、無増悪生存期間(PFS)の中央値は13.3カ月であったことが、国際多施設フェーズ2試験の予備解析結果から明らかになった。6月3日から米国シカゴで開催された第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、研究グループを代表して米University of Texas M.D.Anderson Cancer CenterのS.I.Sherman氏が発表した。

 分化型甲状腺癌は比較的予後が良好な疾患だが、放射性ヨード抵抗性の患者は治療選択肢が限られ、予後も不良なため、新たな治療薬が求められている。lenvatinibはVEGFR1-3、FGFR1-4、RET、KIT及びPDGFRβを標的とする経口マルチキナーゼ阻害剤で、フェーズ1試験では分化型甲状腺癌及び甲状腺髄様癌で部分奏効(PR)が認められている。

 この非盲検フェーズ2試験には6カ国の41施設が参加。RECIST基準で過去12カ月の間に進行が確認された放射性ヨード抵抗性の分化型甲状腺癌患者58人に対してlenvatinib 24mgの1日1回経口投与を28日を1クールとして行い、疾患進行または管理不能な毒性が認められるまで治療を継続した。主要エンドポイントはRECIST基準によるORRとし、副次エンドポイントはPFS、安全性及び忍容性とした。

 試験に参加した58人の甲状腺癌の内訳は乳頭腺癌が43人(74%)、濾胞腺癌が15人(26%)であり、17人(30%)が過去にVEGFRを標的とする治療薬の投与を受けていた。

 治療期間の中央値は405日だった。少なくとも14カ月の経過観察を行った時点でのRECISTによる評価は、完全奏効(CR)0人、部分奏効(PR)34人(59%)、不変(SD)21人(36%)、増悪3人(5%)であり、ORRは59%(95%信頼区間 45-71%)、病勢コントロール率(CR+PR+SD)は95%だった。また、効果発現までの時間の中央値は2.1カ月だった。

 PFSの中央値は13.3カ月だった。過去にVEGFRを標的とする治療薬を投与された患者のPFS中央値は11.4カ月、投与を受けていない患者のPFS中央値は14.4カ月であった(p=0.28)。

 遺伝子解析の結果、BRAF、NRAS、KRASの変異がそれぞれ4人(17%)、6人(26%)、2人(9%)に認められた。PFS中央値はRAS変異がある患者で11.0カ月、変異のない患者では未達であり、ハザード比0.20(95%信頼区間 0.04-0.95、p=0.026)で変異例の方が有意に長かった。

 安全性及び忍容性に関して、試験期間中の有害事象による用量減少は22人(39%)、投薬中止は17人(29%)だった。治療に関連したグレード2以上の有害事象は、高血圧(グレード2が52%、グレード3が10%)、蛋白尿(グレード2が22%、グレード3が10%)、体重減少(グレード2が29%、グレード3が7%)、下痢(グレード2が19%、グレード3が10%)、倦怠感(グレード2が17%、グレード3が7%)、食欲低下(グレード2が14%、グレード3が7%)、悪心(グレード2が12%)などであった。

 このような有望な成績を受けて、放射性ヨード抵抗性の進行性分化型甲状腺癌に対するlenvatinibの国際フェーズ3臨床試験が既に始まっている。