切除不能膵癌には、ゲムシタビンとS-1の併用投与の方がゲムシタビン単独投与よりも有効であることが明らかになった。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)が有意に高く、副次評価項目の全生存期間(OS)や増悪までの期間(TTP)が有意に長かった。このフェーズ2試験は日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)が実施しており、今回の成果は研究グループ(代表者:東京都保健医療公社東部地域病院の猪狩功遺氏)メンバーのがん・感染症センター都立駒込病院の小室泰司氏が、6月3日から7日までシカゴで開催された第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で発表した。

 登録されたのは20歳以上80歳以下の切除不能な膵癌患者117人。ゲムシタビンを単独投与する群(単独群、59人)あるいはゲムシタビンとS-1を併用投与する群(併用群、58人)に無作為に割り付けられ、解析対象となったのはそれぞれ59人、53人。患者背景をみると、性別、年齢、ECOG Performance Status、局所進行か転移性か、転移先部位、苦痛の有無などに有意差はなかった。

 単独群には28日を1コースとして、ゲムシタビン1000mg/m2を第1日、8日、15日に投与した。併用群には21日を1コースとして、ゲムシタビン1000mg/m2を第1日、8日に、S-1は第1日から14日まで80mg/m2を投与した。

 投与コースの平均回数は、単独群が4.19コース(16.8週)、併用群が5.91コース(17.7週)。回数中央値は、単独群が3コース(範囲 1-14)、併用群が5コース(同 1-26)だった。

 抗腫瘍効果に関して、単独群は完全奏効(CR)が0人、部分奏効(PR)が4人、病勢安定(SD)が22人、病勢進行(PD)が23人で、ORRは6.8%(95%信頼区間 2.7-16.2)、病勢コントロール率(DCR)は44.1%(同 32.2-56.7)。一方、併用群はCRが0人、PRが15人、SDが19人、PDが7人で、ORRは28.3%(同 18.0-41.6)、DCRは64.2%(同 50.7-75.7)だった。ORR、DCRはいずれも併用群で有意に高かった(順にp=0.005、p=0.039)。

 サブグループ別に抗腫瘍効果をみると、局所進行膵癌だとORRとDCRのいずれも有意差は認められなかった。それに対し、転移性膵癌だとORRは有意に高く(p=0.011)、DCRは高い傾向がみられた(p=0.075)。

 単独投与に対する併用投与のOSのハザード比は0.61(95%信頼区間 0.38-0.96、p=0.033)。OS中央値は単独群が8.3カ月、併用群が13.9カ月で、1年生存率は順に31.6%、57.9%だった。同様にTPPのハザード比は0.51(同 0.33-0.79、p=0.001)だった。

 血液毒性については、グレード3/4の好中球減少症が単独群の18.6%に対し、併用群は52.8%だった。全グレードでみると、好中球減少症と貧血が併用群で多かった。治療関連の死亡は両群とも1人ずつだった。

 これらの結果を踏まえ、研究グループは、ゲムシタビン単独投与に対するゲムシタビンとS-1の併用投与の有用性を確認するために、より規模の大きな無作為化フェーズ3試験を行うべきだとした。