手術不能進行膵癌を対象に、ゲムシタビンS-1を併用しても、ゲムシタビン単独投与、S-1単独投与よりも有意に生存期間中央値は延長できないことが明らかとなった。一方、ゲムシタビン単独投与に対するS-1単独投与の非劣性は証明され、手術不能進行膵癌のファーストラインとして利用ができることも明らかとなった。単剤で、ゲムシタビンに対する非劣性が証明されたのはこれが初めて。日本と台湾で行われたフェーズ3試験GESTの結果、示されたもの。成果は6月3日から7日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、大阪府立成人病センターの井岡達也氏によって発表された。

 GEST試験は、化学療法未治療の手術不能進行膵癌患者をゲムシタビン群(GEM群)、S-1群、ゲムシタビン+S-1群(GS群)の3群に分けて行われたランダム化オープンラベルフェーズ3試験。GEM群は4週間を1サイクルとして1日目と8日目と15日目にゲムシタビン1000mg/m2を投与した。S-1群は6週間を1サイクルとして1日目から28日目まで体表面積に応じて1日あたり80mg、100mg、または120mgを投与した。GS群は3週間を1サイクルとして1日目と8日目にゲムシタビン1000mg/m2を投与し、1日目から14日目まで体表面積に応じて1日あたりS-1を60mg、80mg、または100mg投与した。主要評価項目は全生存期間だった。

 2007年7月から2009年10月までに834人の患者が登録された。試験の結果、全生存期間中央値はGEM群(277人)が8.8カ月(95%信頼区間 8.0-9.7)、S-1群(280人)が9.7カ月(95%信頼区間 7.6-10.8)、GS群(275人)が10.1カ月(95%信頼区間 9.0-11.2)だった。GEM群に対するハザード比はS-1群で0.96(97.5%信頼区間 0.78-1.18)、GS群は0.88(97.5%信頼区間 0.71-1.08)となった。1年生存率はGEM群が35.4%、S-1群が38.7%、GS群が40.7%だった。

 全生存期間におけるS-1群の非劣性はp<0.001で証明されたが、GS群の優越性はp=0.15で証明されなかった。

 無増悪生存期間(PFS)中央値はGEM群が4.1カ月、S-1群が3.8カ月、GS群が5.7カ月で、無増悪生存期間においては、GS群はGEM群に比べて優越性は証明され(p<0.001)、GEM群とS-1群の非劣性も証明された(p=0.02)。奏効率はGEM群が13%、S-1群が21%、GS群が29%だった。

 EQ-5Dで評価されたQOLスコアは、S-1群とGEM群は同等(p=0.61)でGS群はGEM群よりも有意に優れていた(p=0.003)。

 グレード3/4の毒性は、好中球減少症はGEM群が41%、S-1群が9%、GS群が62%、血小板減少症はGEM群が11%、S-1群が2%、GS群が17%、食欲不振はGEM群が7%、S-1群が11%、GS群が9%、下痢はGEM群が1%、S-1群が6%、GS群が5%だった。

 今回の結果について井岡氏は「世界の標準療法といえるゲムシタビン単独療法に対して、S-1単独で非劣性が証明された意義は大きい。今後は、一次治療におけるFOLFIRINOXのようなゲムシタビンを用いない併用療法の開発が期待される」と語った。