トラスツズマブ治療を受けた転移性乳癌患者では、HER2総発現量が多い患者の方が無増悪生存期間(PFS)が有意に長く、P95 HER2発現量は少ない患者のほうがPFSは有意に長いことが、レトロスペクティブな解析で明らかになった。6月3日から7日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、ポーランドMedical University of GdanskのW. Biernat氏らによって報告された。

 HER2陽性患者においてp95 HER2の出現はトラスツズマブ耐性の機序と考えられているが、これはキナーゼ活性をもつトラスツズマブ結合部位がP95 HER2には欠損しているためといわれている。

 解析は、トラスツズマブによる治療を受けた転移性乳癌患者142人の標本を用いて、VeraTagアッセイ法によるHER2総発現量(H2T)およびP95 HER2の発現量とPFSとの関係を検討した。

 患者背景は、閉経後女性が55%、年齢中央値は53歳(25〜79歳)。転移部位は骨が63%を占め、内臓が20%、軟部組織が17%。エストロゲン受容体陽性が39%、プロゲステロン受容体陽性が30%、病理学的グレード3が60%、乳管癌が89%を占めた。

 H2Tのカットオフ値を13.8と設定したところ、H2T>13.8群(114人)の PFSはH2T<13.8群(28人)よりも有意に良好だった(ハザード比 0.61、p=0.044)。またHER2陽性患者(H2T>13.8)のうち、p95の発現量が高い患者(p95>2.8)では低い患者(p95<2.8)に比べてPFSは短かった(ハザード比 1.9、p=0.018)。2変量解析では、H2Tとp95はそれぞれPFSと有意な関連性が認められた(p=0.011、p=0.011)。

 なおH2TとP95の発現量はグレード3の患者の方がグレード1/2の患者に比べて高かった(p=0.005、p=0.006)。またH2Tはホルモン受容体との有意な関連性が見られなかったが(p=0.10)、P95の発現量はホルモン受容体陰性患者のほうが陽性患者よりも有意に高かった(p<0.001)。