HER2陽性乳癌で脳転移を有する患者を対象としたフェーズ1試験において、ラパチニブとアルキル化剤のtemozolomideの併用は忍容性が良好であることがわかった。最大耐用量(MTD)を決定するための投与は、設定された5段階のうち、最も高い用量で現在も続けられている。本試験は2011年の第2四半期に終了する予定だ。6月3日から7日にかけてシカゴで開催された第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、ベルギーInstitute Jules BordetのE. De Azambuja氏が発表した。

 ラパチニブまたはtemozolomideについては、過去の試験で乳癌の脳転移に対する有効性が示唆されている。

 Azambuja氏らは、HER2陽性乳癌で脳転移を有する患者を対象にフェーズ1試験を実施し、ラパチニブとtemozolomideによる併用療法のMTDを検討した。MTDの定義は、1サイクル目に患者の3人中2人以上、または6人中2人以上に用量制限毒性(DLT)が認められた用量を下回る量とした。
 
 1サイクルを28日間とし、ラパチニブは1〜28日まで、temozolomideは1〜5日まで投与することとし、投与量は以下の5群とした。1)ラパチニブ1000mg/日+temozolomide 100mg/m2/日、2)ラパチニブ1250mg/日+temozolomide 100mg/m2/日、3)ラパチニブ1500mg+temozolomide 100mg/m2/日、4)ラパチニブ1500mg+temozolomide 150mg/m2/日、5)ラパチニブ1500mg+temozolomide 200mg/m2/日。

 2008年1月から2011年1月までに、測定可能な脳転移を1つ以上有する17人(年齢中央値50歳)が登録された。脳以外の転移部位では肺が最も多く29%、次いで肝臓とリンパ節が各18%だった。前治療として、薬物治療ではアントラサイクリンが100%、トラスツズマブが100%、タキサンが94%、ラパチニブが47%の患者に使用されていた。全脳照射(WBRT)は65%、定位手術的照射(SRS)は41%の患者が受けていた。

 1)群から4)群に各3人、5)群に5人が割り付けられ、ラパチニブとtemozolomideによる併用療法のサイクルの中央値は3、治療継続期間の中央値は63日だった。

 グレード2以上の有害事象として、疲労感(6人)、下痢(4人)、食欲不振(3人)、血小板減少(2人)などが発現した。しかし、DLTを認めたのは5)群の1人のみで、疲労感(グレード3)と血小板減少が発現した。予測外の副作用はみられず、心事象も発現しなかった。以上の結果から、ラパチニブとtemozolomideの併用は忍容性が良好と考えられた。5)群にはその後6人が追加され、1人は現在もMTDの判定のため、投与を継続中である。

 当初登録された17人の無増悪生存期間の中央値は2.79カ月、全生存期間の中央値は10.9カ月となった。

 治療中止となったのは17人で、このうち13人は進行(PD)、1人はPDによる死亡、3人は有害事象(感染症、PSの悪化を伴う血小板減少、下痢)による中止であった。
 
 治療期間中は脳のMRIで容積を測定しており、脳転移が縮小した患者もいたが、1つの脳転移の評価は必ずしも全体の奏効と関連しなかった。

 Azambuja氏は今回の結果から、「ラパチニブとtemozolomideの併用は、脳転移を有するHER2陽性乳癌で、前治療の強度が軽い患者を対象として、フェーズ2試験で検討すべき」としている。脳転移以外に対するこの併用の検討も続けられている。