HER2陰性の転移性乳癌に対する初回治療として、ベバシズマブパクリタキセル週1回の併用療法は、海外の試験結果と同様に、日本人の患者でも臨床効果があり、かつ安全に使用できることがフェーズ2試験の解析で確認された。またエストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PR)、HER2が全て陰性のトリプルネガティブ患者にも、この併用療法は有効であることが明らかになった。6月3日から7日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、癌研有明病院化学療法科の伊藤良則氏らによって報告された。

 ベバシズマブと化学療法併用による初回治療は、HER2陰性転移性乳癌患者の無増悪生存期間(PFS)と奏効率を改善することが、3件のフェーズ3試験(E2100、AVADO、RIBBON-1)で明らかになっている。そこで研究グループは、日本人の転移性乳癌患者を対象に、E2100試験と同じレジメンで有効性と安全性を検討した。

 対象は、治療歴がなくHER2 陰性で測定可能病変のある転移性乳癌患者120人。4週おきに、ベバシズマブ 10mg/kgを第1日と第15日に、パクリタキセル90mg/m2を第1日、第8日、第15日に投与した。主要評価項目はPFSと安全性、副次評価項目は治療成功期間と奏効率、奏効期間、全生存(OS)と設定された。

 2009年6月の時点で、フォローアップ期間の中央値は11.1カ月(0.5-24.7カ月)。独立審査委員会が判定したPFSの中央値は12.9カ月(95%信頼区間 11.1-18.2)、医師判断によるPFS中央値は14.9カ月(同 11.2-18.2)だった。E2100試験のPFS中央値は11.3カ月で、日本の試験のほうがやや良い結果であった。

 治療成功期間の中央値は11.1カ月(95%信頼区間 9.3-13.6)で、奏効率は74%(同 64.5-81.2)、病勢安定は21%の患者で認められた。奏効期間は86人で評価され、中央値は13.6カ月(同 1.8-22.2)。2010年8月の時点でのOS中央値は35.8カ月(同 26.4-到達せず)、1年生存率は88.9%(同 83.2-94.6)、2年生存率は63.2%(同 54.4-71.9)だった。この結果はE2100試験のOS中央値26.5カ月、1年生存率81%よりも優れていた。

 PFSをサブグループ解析した結果、65歳未満(97人)でPFS中央値は14.5カ月、65歳以上(20人)は9.4カ月であり、トリプルネガティブの患者(38人)では9.6カ月、トリプルネガティブではない患者では14.8カ月だった。E2100試験ではパクリタキセル単独では5.3カ月だが、ベバシズマブの追加で10.6カ月に延長したことが報告されており、日本のデータもほぼ同等の結果が得られた。

 また転移部位の個数が3未満(61人)ではPFS中央値は14.5カ月、3以上(56人)では12.8カ月、術前・術後の補助療法としてタキサン系抗癌剤による治療歴がある患者(22人)では11.1カ月、ない患者では15.2カ月だった。

 新たな有害事象はなかったが、主なグレード3/4の有害事象は好中球減少が43%、白血球減少が27%で、末梢神経障害が26%だった。高血圧はグレード3が17%の患者に見られたが、グレード4の高血圧、グレード3/4のタンパク尿はなかった。また消化管穿孔や発熱性好中球減少、可逆性後白質脳症症候群は見られなかった。