治療歴がなく、ホルモン受容体が陽性でHER2が陰性の閉経後の乳癌患者を対象に、レトロゾールラパチニブの併用またはレトロゾール単剤をネオアジュバント療法で使用したフェーズ2b試験において、奏効率(プロトコール基準による)と病理学所見は併用群で改善傾向が示された。両群とも進行(PD)の割合は低く、毒性も受容可能な範囲であった。6月3日から7日にかけてシカゴで開催された第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、イタリアModena University HospitalのPierFranco Conte氏が発表した。

 Conte氏らは多施設共同、二重盲検の無作為化フェーズ2b試験を実施し、治療歴がなく、エストロゲン受容体(ER)またはプロゲステロン受容体(PgR)のいずれか、または両方が陽性で、かつHER2陰性の閉経後の乳癌患者のネオアジュバント療法として、レトロゾールとラパチニブの併用またはレトロゾール単剤の臨床的な効果などを評価した。

 コア生検を施行後、手術前の6カ月間にわたってレトロゾール2.5mgとラパチニブ1500mgを連日投与する群(併用群)と、レトロゾールとプラセボを投与する群(レトロゾール群)に患者を無作為に割り付けた。主要目的は超音波検査による臨床的な奏効率とした。

 2010年10月の時点までにイタリアの6施設から92人の患者が登録された。併用群は43人(年齢中央値70歳)、レトロゾール群は49人(同70歳)となった。

 ステージIIA、IIB、IIIAの割合は、併用群でそれぞれ46.5%、41.9%、11.6%、レトロゾール群で51.0%、42.9%、6.1%だった。ER陽性/PgR陽性、ER陽性/PgR陰性の患者の割合は、併用群で81.4%と18.6%、レトロゾール群で75.5%と24.5%だった。HER2がIHCスコア1+、2+/FISH−、FISH−の割合は、併用群で16.3%、16.3%、14%、レトロゾール群で24.5%、10.2%、14.3%だった。

 完全奏効(CR)と部分奏効(PR)をRECIST基準で判定すると、併用群では12%と54%、レトロゾール群では2%と58%となり、両群で奏効率に大きな差はみられなかった。

 一方、CRを「病変部の消失」、PRを「病変部の長径が50%以上減少」とするプロトコール基準で判定すると、CRとPRは、併用群では12%と34%、レトロゾール群では2%と27%となり、奏効率は併用群で高かった。

進行(PD)を認めたのは、併用群ではRECIST基準、プロトコール基準とも2%、レトロゾール群では8%と6%で、いずれも少なかった。

 乳房切除術と乳房温存術が行われた割合は、併用群で34.9%と62.8%、レトロゾール群で26.5%と69.4%となった。

 病理学的には、併用群では残余腫瘍を認めるypT1は60.4%、ypT2は27.9%だった。レトロゾール群には残余腫瘍がないypT0が2%含まれ、ypT1は40.8%、ypT2は49.0%だった。リンパ節転移のないN0の割合は、併用群48.8%、レトロゾール群38.8%だった。

 グレード2以上の有害事象では、併用群で最も多かったのは皮膚障害(41.8%)で、下痢(23.2%)、粘膜炎(18.6%)が続いた。レトロゾール群では筋骨格系の疼痛(8.2%)、下痢(4.1%)の順だった。