エストロゲン受容体(ER)陽性の乳癌患者において、アロマターゼ阻害剤であるエキセメスタンを術前に24週間投与した場合の腫瘍縮小効果は、21種類の遺伝子から再発リスクを算出する遺伝子検査「Oncotype DX」で予測可能であることが、フェーズ2試験に登録した患者の腫瘍組織を用いた解析で明らかになった。6月3日から7日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、大阪医療センター外科・乳腺外科の増田慎三氏らによって報告された。

 Oncotype DXは、腫瘍組織中の21の遺伝子を解析し、その発現量から再発リスクをスコア(RS:0〜100)として算出する。再発スコアが18未満を低リスク、18〜30は中等度リスク、31以上は高リスクに分けられる。

 解析対象は、エキセメスタンのフェーズ2試験(JFMC34-0601)に登録した患者。この試験では、ER陽性でステージ2、3Aの閉経後乳癌患者に対して、術前にエキセメスタンが24週間投与された。試験に登録した116人のうち、再発スコアは64人で得られた。64人の年齢中央値は64歳(56〜77歳)、腫瘍径の中央値は27mm(15〜58mm)。

 再発スコアから低リスクに分類された患者(低リスク群)は32人(50%)、中等度リスクの患者(中等度リスク群)は17人(26.6%)、高リスクの患者(高リスク群)は15人(23.4%)だった。

 術前エキセメスタンの奏効率は患者全体では50%だが、低リスク群では59.4%、中等度リスク群では58.8%、高リスク群では20%で、低リスク群と高リスク群で奏効率に有意な違いが認められた(p=0.015)。

 また低リスク群では乳房温存術が90.6%の患者で行われており、中等度リスク群では76.5%、高リスク群では46.7%と、再発スコアの低さと乳房温存術の施行には有意な関連性が示された。

 一方、細胞核で発現する蛋白質Ki-67は、術前ホルモン療法の効果判定のバイオマーカーとして有用であると報告されているが、増田氏らの解析では、免疫組織化学染色(IHC)によるKi-67の発現量は腫瘍縮小効果や乳房温存術の施行との関連性は見られなかった。またERの発現量も関連性がなかった。

 これらの結果から「低リスクと中等度リスクの患者ではエキセメスタン術前投与は効果的だが、高リスクの患者ではホルモン療法よりも化学療法を選択することを考える」と増田氏。また「再発スコアによって腫瘍縮小効果と乳房温存術の施行が予測でき、Ki-67よりも信頼性が高い」と話した。