ステージ2大腸癌患者の術後補助療法において、標準的化学療法である5-FU+ロイコボリン(FULV)へのオキサリプラチンの追加投与は患者の生存率を有意には改善せず、高リスクのステージ2大腸癌患者でもオキサリプラチン追加投与による5年全生存率の改善は3.5%にとどまることが示された。6月3日から米国シカゴで開催されている第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、米University of PittsburghのG. A. Yothers氏が研究グループを代表して発表した。

 この成績は、National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project(NSABP)がステージ2/3大腸癌患者を対象に実施した4つの臨床試験(NSABP C-05、C-06、C-07、C-08)のデータをプールした上で、全生存率(OS)、無病生存率(DFS)、無再発率(TTR)に対するオキサリプラチン追加投与の効果をステージ別に再解析して得られたもの。

 さらにステージ2の患者については、穿孔、深達度T4、検索リンパ節数12個未満のいずれかに該当する例を「高リスク」と定義し、それ以外の「低リスク」患者との比較検討も行った。

 対象となった大腸癌患者は、FULV群が4883人(ステージ2患者は2009人、そのうち高リスク例は1100人)、FULV+オキサリプラチン群が3788人(ステージ2患者は991人、そのうち高リスク例は909人)だった。

 まず、オキサリプラチン追加投与の効果を、年齢、性別、人種、検索リンパ節数、深達度について調整した上でステージ別に比較したところ、全例(ステージ2/3患者の合計)及びステージ3患者の解析では、OS、DFS、TTRのすべてでオキサリプラチン追加投与による有意な改善効果が認められた。

 しかし、ステージ2患者のみの解析では、OSはハザード比0.95(95%信頼区間 0.75-1.21、p=0.67)、DFSはハザード比 0.86(同 0.71-1.04、p=0.11)、TTRはハザード比0.81(同 0.62-1.05、p=0.10)と、いずれもオキサリプラチン追加による改善の傾向は見られ、特にDFSとTTRについてはある程度の有益性が示唆されたものの、有意な改善は認められなかった。ただし、オキサリプラチン投与とステージの交互作用はOS、DFS、TTRとも統計学的に有意でなく、オキサリプラチンの効果がステージによって異なるという明確なエビデンスも得られなかった。

 一方、ステージ2患者で高リスク例と低リスク例を分けて検討したところ、高リスク例における5年全生存率はFULV群で86.7%、FULV+オキサリプラチン群で90.2%であり、絶対的な改善率の値は3.5%であった。さらに低リスク例ではそれぞれ89.2%、91.7%であり、改善率は2.5%にとどまった。同様に5年DFSは高リスク例でそれぞれ76.3%、80.7%(改善率4.4%)、低リスク例80.6%、83.6%(改善率3.0%)、5年TTRは高リスク例84.0%、89.2%(改善率5.2%)、低リスク例89.2%、91.6%(改善率2.9%)であった。この検討でもオキサリプラチン投与とリスクとの間に統計学的に有意な交互作用は認められなかった。

 ステージ2大腸癌患者の術後補助療法へのオキサリプラチン追加の意義はこれまでも議論の的になってきたが、今回の成績では、オキサリプラチン追加投与による上乗せ効果はあまり期待できないことが改めて示された。

 Yothers氏は、以上の成績から、「ステージ2の大腸癌患者におけるFULV療法へのオキサリプラチン追加投与は相対的には有益な可能性があるが、絶対的なベネフィットは小さく、末梢神経障害などのオキサリプラチンの副作用による有害性の方が勝る可能性が高い。今後、オキサリプラチン投与が有効な患者を特定するためのバイオマーカーの研究開発が待たれる」と結論した。