BRAF V600E変異を有する進行性黒色腫で治療歴がない患者を対象としたフェーズ3試験(BRIM3試験)において、BRAFキナーゼ阻害剤vemurafenib(PLX4032/RO5185426)がダカルバジンと比べて全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことがわかった。本試験は黒色腫の試験治療薬が標準治療のOS、PFS、奏効率を超える初の試験となった。6月3日から7日にかけてシカゴで開催されている第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのPaul Chapman氏が発表した。

 BRAF V600E変異は黒色腫患者の約半数にみられる。vemurafenibは変異したBRAF蛋白を選択的に阻害する低分子経口キナーゼ阻害剤で、フェーズ2のBRIM2試験ではBRAF V600E変異を有する黒色腫患者に52%の奏効率を示した。

 BRIM3試験は、12カ国から104施設が参加した無作為化フェーズ3試験。Chapman氏らは、本試験でvemurafenibが主要評価項目のOSとPFSを改善するか否かを検討した。

 対象は、切除不能なステージIIICまたはIVの黒色腫で、治療歴がなく、BRAF変異を判定する「cobas 4800 BRAF V600 Mutation Test」でBRAF V600Eが陽性となった患者。vemurafenib 960mgを経口で1日2回投与する群(vemurafenib群)と、ダカルバジン1000mg/m2を3週毎に静注する群(ダカルバジン群)に、1対1で無作為に割り付けた。

 2010年1月から12月までに104施設から675人が登録され、vemurafenib群は337人(年齢中央値52.5歳、男性181人)、ダカルバジン群は338人(同56.5歳、200人)となった。両群の背景に差はなかった。

 2010年12月30日をカットオフ日としたOSのハザード比は0.37(95%信頼区間 0.26〜0.55、p<0.0001)となった。推定される6カ月生存率は、vemurafenib群で84%、ダカルバジン群で64%だった。

 カットオフ日を同日としたPFSのハザード比は0.26(95%信頼区間 0.20〜0.33、p<0.0001)となり、PFSの中央値はvemurafenib群で3.6カ月、ダカルバジン群で1.6カ月だった。

 副次的評価項目の奏効率をみると、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、全奏効率は、vemurafenib群でそれぞれ0.9%、47.5%、48.4%、ダカルバジン群で0%、5.5%、5.5%だった。

 vemurafenibの有用性は、内臓転移や血清LDH値高値を伴う遠隔転移のステージ(M1c)やLDH高値など、すべてのサブグループで認められたため、ダカルバジンを投与した患者はvemurafenibへのクロスオーバーを可とした。

 グレード3以上の毒性は、vemurafenib群では皮膚扁平上皮癌(12%)、発疹(8%)、肝機能検査値の上昇(7%)、角化性棘細胞腫(6%)などの順に多かった。一方、ダカルバジン群では、好中球減少(8%)、嘔気、疲労感(各2%)の順だった。有害事象による治療中止はvemurafenib群で6%、ダカルバジン群で4%と少なく、安全性については管理可能と考えられた。

 Chapman氏は「vemurafenibはBRAF V600E変異を有する進行性黒色腫に有望な新しい治療と考えられる」と述べた。