転移を有する腎細胞癌にVEGFR阻害剤であるスニチニブを投与すると、スニチニブは腫瘍の生物学的な特徴を変えず、投与されている間は腫瘍の増加を鈍化させているが、一旦、投与を中止すると腫瘍は治療前の増殖能を取り戻すことが明らかとなった。転移を有する腎細胞癌患者にスニチニブかインターフェロンα(IFN)を投与したフェーズ3試験における、患者の治療期間(TOT)と治療後の生存期間(PTS)、全生存期間(OS)、腫瘍増殖速度定数(g)を線形回帰モデルを用いて調べた結果、明らかとなったもの。スニチニブの投与方法を考える上で参考になる解析だ。成果は6月3日から7日にシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、米National Science FoundationのK.B.Blagoev氏によって発表された。

 研究グループの解析によると、IFN群はスニチニブ群よりもPTSが有意に長かった(IFN群29.1週、スニチニブ群18.7週、p=0.006)。IFNによる免疫効果、IFN群の多くの患者が後治療としてスニチニブや他のVEGFR阻害剤の投与を受けていたこともPTSの延長につながった可能性があるという。

 また、スニチニブの長期投与を行ってもPTSを低下させることがないことから、スニチニブはPTSを低減させる作用はないことを示した。

 さらに、治療開始時点の腫瘍量と治療によって最も小さくなった腫瘍量の比率とスニチニブのTOTを比較したところ、TOTがより長いほど、治療期間中の腫瘍量の減少が大きいことも明らかとなった。しかも治療中における腫瘍量の減少とPTSに相関関係はなく、研究グループは、スニチニブは腫瘍の生物学的な特徴を変えず、治療終了により腫瘍が増殖速度を回復するためと推察している。

 また、腫瘍の増殖鈍化とスニチニブのTOTが長くなることには相関があった。OSは腫瘍増殖速度定数に依存しており、このことはPTSが、腫瘍量ではなく、治療終了後の腫瘍増殖速度によって決められていることを示唆するという。