乳癌発症のリスクが上昇する閉経後の女性を対象としたフェーズ3のNCIC CTG Mammary Prevention Trial-.3 (MAP.3)試験において、アロマターゼ阻害剤(AI)のエキセメスタンはプラセボと比べて浸潤癌発生のリスクを65%減少する結果が示された。本試験は、乳癌の一次予防にAIを使用した最初の無作為化試験である。6月3日から7日にかけてシカゴで開催されている第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、米Massachusetts General HospitalのPaul E. Goss氏が発表した。

 乳癌発症のリスクが高い女性に対し、抗エストロゲン薬のタモキシフェンとラロキシフェンが予防目的で承認されているが、稀ではあるが子宮内膜癌や血栓などが発生することも報告されている。一方、エストロゲン合成を強力に阻害するAIは、早期乳癌の発生を抑制する効果がタモキシフェンよりも高く、AIの中でもエキセメスタンは骨量の減少が少ないことが報告されている。

 NCIC CTG MAP.3試験は二重盲検の無作為化フェーズ3試験。カナダのNCIC CTGを中心に4カ国で実施されており、乳癌発症のリスクが上昇する閉経後の女性を対象として、エキセメスタン25mg/日またはプラセボを5年間投与する。主要評価項目は両群における浸潤癌の発生率である。

 本試験の適格基準には、35歳以上の閉経後の女性であることの他に、次の,らい隆躙碓子が1つ以上ある場合も含まれた。60歳以上、⊂来の乳癌発症リスクを算出するGail scoreが1.66%を超える、0朷親管過形成(ADH)、異型小葉過形成(ALH)、非浸潤性小葉癌(LCIS)の既往、と鷽蚕畧乳管癌(DCIS)で乳房切除術を受けた既往。

 2004年2月から2010年3月までに4560人が登録された。エキセメスタン群は2285人(年齢中央値62.5歳)、プラセボ群は2275人(62.4歳)となった。BMIの中央値は、エキセメスタン群は27.9、プラセボ群は28.1、Gail scoreの中央値は両群とも2.3だった。 銑い隆躙碓子を有する患者の割合は、エキセメスタン群は48.8%、40.7%、8.1%、2.5%、プラセボ群は49.5%、39.8%、8.3%、2.5%だった。

 追跡期間の中央値が35カ月の時点で、浸潤癌発生のイベント数は、エキセメスタン群は11、プラセボ群は32となり、1年あたりの発生率は0.19%と0.55%となった(ハザード比 0.35、p=0.002)。エキセメスタン群では浸潤癌発生のリスクが65%減少したことになる。

 浸潤癌とDCISの両方が発生したイベント数は、エキセメスタン群は20、プラセボ群は44となり、1年あたりの発生率は0.35%と0.77%となった(ハザード比 0.47、p=0.004)。

 またエキセメスタン群では、Gail score、BMI、ADH/ALH/LCISの既往など、全てのサブグループで浸潤癌の発生率がプラセボ群と比べて低かった。

 DCISならびにADH、ALH、LCISの1年当たりの発生率も、プラセボ群と比べてエキセメスタン群で抑制される傾向がみられた。

 QOLでも、身体的な苦痛や性的な面で意義のある変化がエキセメスタン群で認められた。

 有害事象の顔面紅潮、疲労感、不眠、下痢、嘔気、関節炎、関節痛、筋肉痛は、プラセボ群と比べてエキセメスタン群で有意に発現頻度が高かった。しかし、心血管事象、臨床的な骨折、骨粗鬆症、二次的な癌の発生など、重篤な有害事象の発現は、両群で有意差はなかった。

 Goss氏は「エキセメスタンは乳癌の一次予防に有望であり、新たな選択肢として考慮すべき。MAP.3の組み入れ基準に適合する患者とその医師は、今回の結果を知ってほしい」と話した。本試験の結果は、New England Journal of Medicineオンライン版にも6月4日から掲載されている。