脳転移を有する腎細胞癌患者においてスニチニブは投与可能だが、脳転移病変に対する効果は病勢安定のみで、奏効率は0%であったことが、フェーズ2試験で明らかになった。6月3日から7日にシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、フランスInstitut Claudius RegaudのC. Chevreau氏らが発表した。

 レトロスペクティブな研究では、スニチニブを中心とするチロシンキナーゼ阻害剤は、治療歴がある脳転移腎細胞癌に対し、安全に使用できることが報告されている。そこでプロスペクティブ試験として、未治療の脳転移腎細胞癌患者を対象に、スニチニブの効果と安全性が検討された。

 対象は、測定可能で手術不能の脳転移があり、スニチニブによる治療歴がなく、ECOG PSは2以下、十分な臓器機能がある患者とした。スニチニブは50mg/日を4週投与2週休薬のスケジュールで、病勢進行もしくは重大な毒性の出現まで投与された。

 主要評価項目は、2サイクル後の中枢神経系組織における奏効率(RECIST基準)、副次評価項目は奏効期間、中枢神経系組織以外での奏効率、無増悪期間、無増悪生存期間、全生存、腫瘍関連の神経症状、毒性と設定された。

 17人が登録され、年齢中央値は61.6歳。転移部位が2個以上の患者が58.8%、腎摘除術は41.2%の患者が受けており、1人を除き16人が淡明細胞癌であった。ECOG PS 0は37.5%、PS 1が50%、PS 2が12.5%、MSKCCリスク分類でfavorableリスクが23.1%、intermediateリスクが46.2%、poorリスクが30.8%だった。また中枢神経系組織の転移数は1〜4個(中央値は1個)だった。

 中枢神経系組織では、最良効果は病勢安定で5人に認められたが、奏効率は0%だった。中枢神経系組織以外では、完全奏効が1人で見られた。この試験では、Simonの2段階試験デザインを用いていたが、奏効性が低かったことから、第一段階の後に、試験は中止された。

 全生存期間中央値は6.3カ月(95%信頼区間 2.1-7.9)であり、無増悪生存期間中央値は2.3カ月(同 1.2-5.4)だった。

 毒性による死亡が1人で、胃穿孔を伴う腹膜炎だった。スニチニブ関連のグレード3以上の有害事象が4人で認められ(肺塞栓症、好中球減少、血小板減少、高血圧)、別の1人ではスニチニブ関連と考えられるグレード3以上の無力症が見られた。しかしスニチニブによる神経系の合併症はなかった。

 スニチニブは低分子であるため、中枢神経系組織にも浸透することが期待されていたが、脳転移病変には効果が低く、神経症状がなかったことから、研究グループは「薬物動態的な研究が必要である」と述べている。