転移性腎細胞癌患者の血中VEGF-A高値は予後悪化の予測マーカーとして有望であることが示された。また、VEGF-C高値、IL-8高値も予後予測マーカーとして、sVEGFR-3低値はスニチニブによる予後改善の予測マーカーとして有効である可能性も示された。米Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのRJ Motzer氏らのグループの研究結果で、6月3日から米国シカゴで開催されている第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、米Pfizer社のCS Harmon氏が発表した。

 同グループは、転移性腎細胞癌に対するスニチニブあるいはインターフェロン-α(IFNα)の効果を予測できるマーカーを探索するため、血中の可溶性たんぱく質を対象とした解析を行った。バイオマーカー探索の試料としたのは、転移性腎細胞癌に対するファーストライン治療としてスニチニブあるいはインターフェロン-α(IFNα)の効果を比較したフェーズ3臨床試験に参加した患者の血液試料。

 このフェーズ3臨床試験は、750例の転移性腎細胞癌患者が登録され、375例ずつスニチニブ投与群、IFNα投与群に割り付けられていた。今回は、この750例のうち、スニチニブ群33例、IFNα群30例の血液試料を対象としてバイオマーカー探索を行った。

 1サイクルあたり投与1日目の薬剤投与前と投与後28日目の血液試料を1〜4サイクル分、解析に用いた。血液中の可溶性たんぱく質で、バイオマーカーになる可能性が考えられるものとして、血管内皮細胞増殖因子A(VEGF-A)、VEGF-C、sVEGFR-3、IL-8を分析した。

 探索の対象となったスニチニブ群33例、IFNα30例の登録時患者背景は、試験全体の各群の患者背景と同等で、さらにスニチニブ群33例とIFNα群30例の無増悪生存期間中央値はそれぞれ13.7カ月、5.1カ月で、試験全体の無増悪生存期間中央値(スニチニブ群11.1カ月、IFNα群5.1カ月)と同様の傾向を示しており、バイオマーカー探索の対象となった症例は試験全体を外挿できると考えられた。

 解析の結果、両群ともに、登録時のVEGF-A量、VEGF-C量は、健康なボランティアのそれぞれのたんぱく質量と比べて有意に高い値だった。一方、登録時のsVEGFR-3量、IL-8量は健康なボランティアと差は見られなかった。

 スニチニブ群では、投薬に伴い、VEGF-A量は登録時の4倍へと増加し、IL-8量は登録時の2〜3倍へと増加した。VEGF-C量は投薬後も登録時の量とほとんど変化がなく、sVEGFR-3は投薬後、登録時に比べて半分程度まで減少した。

 IFNα群では、VEGF-A、VEGF-C、sVEGFR-3ともに登録時からほとんど変化がなく、IL-8のみ投薬後に2倍程度に上昇していた。

 登録時の各たんぱく質の平均値をカットオフ値としてPFS、OSを評価した結果、スニチニブ群において、VEGF-Aが平均値より低いグループのPFSは13.7カ月で、平均値より高いグループの7.8カ月と比べて有意に延長していた。OSについても、平均値より低いグループは平均値より高いグループの21.8カ月と比べて有意に延長していた。

 また、スニチニブ群において、sVEGFR-3が登録時の平均値より低いグループのPFSは21.7カ月で、高いグループの10.9カ月と比べて有意に延長していた。OSは平均値より低いグループは高いグループの23.3カ月と比べて有意ではないものの延長する傾向にあった。

 一方、IFNα群においては、IL-8が登録時の平均値より低いグループのPFSが7.8カ月で、平均値より高いグループの2.6カ月と比べて有意に延長していた。OSについては、PFSと同様に平均値より低いグループが延長する傾向にあったが、有意ではなかった。

 次に、各たんぱく質が登録時の平均値より低いグループについて、スニチニブ群とIFNα群のPFSを比較した結果、いずれのたんぱく質においてもスニチニブ群がIFNα群と比べて有意に延長していた。

 最後に多変量解析を行った結果、スニチニブ群、IFNα群ともに、登録時の各たんぱく質の濃度が癌の進行や死亡と相関することが示された。

 これらの結果から、Hormon氏は、「転移性腎細胞癌患者の血中VEGF-A濃度が高い場合は予後が悪く、VEGF-C、IL-8の濃度が高い場合は予後が悪い可能性があり、登録時のsVEGFR-3濃度はスニチニブ治療による予後改善の予測マーカーになる可能性があることが示された」とまとめた。