肝細胞癌で増加するグリピカン3(GPC3)を標的とした抗体(GC33)は、進行性肝細胞癌患者に対して安全に投与でき、2割の患者では長期の病勢安定(SD)も得られたことがフェーズ1試験で明らかになった。6月3日から7日にシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、米国Massachusetts General Hospital Cancer CenterのAndrew X. Zhu氏らによって報告された。

 GPC3は細胞膜に結合するヘパラン硫酸プロテオグリカン。肝細胞癌で特異的に出現し、腫瘍の増殖に関与すると考えられている。

 試験は、測定可能病変のある進行性肝細胞癌で、ECOG PSは0〜1、Child-Pugh AもしくはBで、十分な臓器機能がある患者20人を対象に行われた。GC33の用量は段階的に増量し、コホート1では2.5mg/kg、コホート2では5.0mg/kg、コホート3では10mg/kg、コホート4では20mg/kgとした。各コホートは3人で、3人中1人に用量制限毒性(DLT)を認めた場合は、さらに3人を追加する。

 DLTは、グレード3のサイトカイン放出症候群/急性輸注反応、グレード3の肝機能検査値の上昇(ALT、AST、アルブミン、総ビリルビン、PT-INR)、投与2週以内の肝酵素上昇を除く、投与4週間のグレード3以上の有害事象とした。

 患者の年齢中央値は62歳(50〜78歳)、C型肝炎が10人、B型肝炎が4人、アルコール性肝炎が3人で、非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH)・肝硬変が1人だった。Child-Pugh Aが13人、Child-Pugh Bが7人で、15人がソラフェニブによる前治療を受けていた。

 治療は忍容性があり、すべてのコホートでDLTは認められなかった。グレード3/4の有害事象は、リンパ球減少が10%、低ナトリウム血症が10%。グレード1/2の注射関連反応(infusion reaction)が初回投与後に40%の患者で見られた。その他の主な有害事象は、倦怠感が50%、便秘が35%、発熱が35%、頭痛が35%だった。

 抗腫瘍効果は、24週以上の病勢安定(SD)が4人(20%)で認められた。また腫瘍組織を免疫組織化学染色(IHC)したところ、GPC3が高発現の患者(9人)のほうが低発現もしくは陰性の患者(7人)よりも、より長期のSDが得られていた。

 これらの結果から、GC33は週に1回20mg/kgまで安全に静注できるとしている。また現在はChild-Pugh Aの患者やGPC3陽性の患者において有効性を評価しているという。