日本人の進行胃癌の予後予測因子としてPS、転移巣数、胃切除術歴、ALPの4つの因子が有効であることが示された。6月3日から米国シカゴで開催されている第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、愛知県がんセンター中央病院薬物療法部の高張大亮氏が発表した。

 現在までに国際的に共通した進行胃癌の予後スコアリングは示されていない。Royal Maesden Hospital(RMH)のグループは、PS、腹膜転移、肝転移、ALPの4つの独立した因子からなる予後予測システムを発表しているが、このRMHのスコアリングシステムは欧米人のデータに基づいたものであり、かつ食道癌患者を30%含めたデータで作成していた。

 そこで、高張氏らは、国内の進行胃癌患者を対象としたフェーズ3臨床試験であるJCOG9912試験のデータを用い、予後スコアリングシステム作成を試みた。JCOG9912試験は、患者を5-FU持続静注、イリノテカン+シスプラチン併用、S-1に割り付けて評価している。今回、JCOG9912試験のうち、92.5%にあたる650例の患者のデータを用いた。650例のうち、215例は5-FU、216例はイリノテカン+シスプラチン併用、219例はS-1を投与された。JCOG9912試験の全患者の生存期間中央値は11.8カ月だった。

 まず多変量解析によって予後予測にかかわる因子の同定を行い、次に4つの因子からなる予後予測スコアリングシステムを作成するためさらに解析を進めた。

 多変量解析の結果、性、PS、転移巣数、胃切除術歴、骨転移、肺転移、CRPの7つの予後予測因子が見出された。

 骨転移有りは骨転移なしに比べてハザード比2.09(95%CI:1.30-3.35、P<0.01)、PS 1、2はPS 0に比べてハザード比1.47(95%CI:1.24-1.74、P<0.01)、転移巣数2以上は0、1の場合と比べてハザード比1.44(95%CI:1.08-1.93、P=0.01)、女性は男性に比べてハザード比1.29(95%CI:1.05-1.58、P=0.02)、CRPが基準範囲上限値以上は基準範囲内と比べてハザード比1.23(95%CI:1.03-1.48、P=0.03)だった。

 また、胃切除術歴がある場合はない場合と比べてハザード比0.74(95%CI:0.55-0.99、P=0.04)、肺転移有りは肺転移なしに比べてハザード比0.72(95%CI:0.53-1.00、P=0.05)だった。

 RHMで見出された4つの因子のうち、3つの因子は今回の解析では有意ではなかった。腹膜転移有りはなしの場合と比べてハザード比1.03(95%CI:0.81-1.31、P=0.81)、肝転移有りはなしの場合と比べてハザード比1.02(95%CI:0.78-1.33、P=0.90)、ALPが基準範囲上限値以上は基準範囲内と比べてハザード比1.13(95%CI:0.93-1.38、P=0.21)だった。

 これらの結果から、予後予測スコアリングシステムを作成するため、4つの因子の組み合わせを評価した結果、5つの組み合わせが見出された。PS、転移巣数は5つの組み合わせのいずれにも含まれ、胃切除術歴は4つの組み合わせに含まれていた。4つの因子のうち最後の1つの因子については、LDH、CRP、GOT、ALPがいずれも同程度に有効であると考えられたが、既報との整合性からALPを選択した。

 この結果、PS(1、2は1点)、転移巣数(2臓器以上は1点)、胃切除術歴(ない場合1点)、ALP(基準範囲上限値以上は1点)となり、0点は生存期間中央値、1年生存率、ハザード比がそれぞれ19.2カ月、80.0%、1、1点は15.4カ月、66.0%、1.34、2点は10.8カ月、44.7%、2.03、3点は9.8カ月、35.4%、2.51、4点は5.0カ月、19.3%、4.11となった。そして、3つのリスクグループとして、0〜1点をgood、2〜3点を中等度、4点をpoorとするJCOG予後予測スコアリングを作成した。