近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門教授の中川和彦氏 

 今回の米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、肺癌関連ではプレナリーセッションで発表された経口ALK阻害剤PF-02341066crizotinib)の発表が特に注目されました。

 crizotinibは、echinoderm microtubule associated protein-like 4(EML4)遺伝子とanaplasticlymphoma kinase(ALK)遺伝子が染色体転座により融合した遺伝子を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に開発されました。この転座が起こっている患者の割合は、日本人の場合、肺腺癌患者のだいたい5%くらいだと言われています。

 抗癌剤の開発のトレンドを振り返ると、1990年代後半から分子標的薬に方向性がシフトしています。

 当初はターゲットとなる患者層を厳しく絞らず、幅広い患者に投与する形で開発が進んでいました。つまり、開発が進んでから薬剤が効くポピュレーションを一生懸命検索し、ある遺伝子変異を有する人に効くことがようやく分かってから、それを臨床試験により証明するのです。これだと長い時間がかかってしまいます。

 ところが、今回のように、非常に早期の段階からEML4-ALKの転座を有する患者という限定されたポピュレーションを対象に分子標的薬が開発されたことは、抗癌剤の開発における最近のトレンドを象徴しています。分子標的薬の開発の歴史を振り返ると、ポピュレーションを絞って開発を進めることが大切だということを学んだ歴史ですが、まさにそれを実践したわけです。

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