虎の門病院乳腺・内分泌外科部長の三浦大周氏 

 今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)において乳癌分野を見渡しますと、いかに患者を選択して最適な治療を行うか、といったことが、かなり絞り込まれてきているという印象を持ちました。

 注目された演題の1つに、luminal乳癌を対象にしたスペイン乳癌研究グループ(GEICAM)による無作為化フェーズ2臨床試験があります。これは、免疫組織化学検査(IHC)でER陽性、PR陽性、HER2陰性、サイトケラチン(CK)8/18+と判定された患者をluminal乳癌とし、これを2群に分けて、術前療法としての化学療法とホルモン療法を比較した試験です。

 化学療法群では3週間おきにエピルビシン90mg/m2とシクロホスファミド600mg/m2を4コース、その後、ドセタキセル100mg/m2を4コース投与されました。またホルモン療法群ではアロマターゼ阻害剤(AI剤)のエキセメスタン1日25mgが24週投与されました。

 患者背景については、T2が両群とも7割以上、ERのAllredスコア7〜8 点が両群とも7割以上を占め、リンパ節転移の状態も両群間でほぼ同じでした。またKi67のlabeling indexが10%以下と、増殖能が低い患者さんが、両群とも40%を占めていました。

 主要評価項目はMRIで判定した奏効率で、化学療法群の奏効率は66%、ホルモン療法群が48%と、化学療法群の方が高いものの、有意差はありませんでした。

 なお、化学療法群のCR(完全奏効)は13%、PR(部分奏効)は53%で、ホルモン療法群ではCRが6%、PRが42%でした。SD(病勢安定)は化学療法群が28%、ホルモン療法群が40%であり、病勢コントロール率はそれぞれ94%、88%でした。

 サブグループ解析では、閉経前で化学療法群の奏効率が75%(18/24)、ホルモン療法群が44%(12/27)と、有意に化学療法群の方が高く見られました(p=0.027)。一方、閉経後では有意差を認めませんでした(p=0.78)。ERのAllredスコア別では、3〜6点の患者では両群間で違いがありませんが、ホルモン療法に高感受性と見られる7〜8点の患者において、ホルモン療法群よりも化学療法群の奏効率が高かったことは、更に詳細にデータを分析する必要があると思います。

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