国立がん研究センター中央病院
呼吸器内科外来医長
久保田馨氏

 今回の米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、肺癌関連の演題がプレナリーセッションに2題選ばれたのがまず目立ちました。1つはanaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子を持つ非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象としたALK阻害剤PF-02341066(crizotinib)の推奨用量による拡大フェーズ1試験の結果です。

 NSCLC患者の約4%にこの遺伝子が存在することが分かっています。韓国Seoul National University College of MedicineのYung-Jue Bang氏によって発表されましたが、フェーズ1の結果がプレナリーセッションに選ばれたのはイマチニブ以来だと思います。奏効率は57%、8週時の完全奏効(CR)と部分奏効(PR)と安定状態(SD)を合わせたDCRは87%で、非常に有望な結果だと思います。今後この遺伝子のスクリーニングを全国的に如何に進めていくかが重要になってくると考えられます。

 もう1つは高齢者NSCLC患者に、カルボプラチンパクリタキセルと、単剤療法(ナベルビンまたはゲムシタビン)とを比較して全生存期間や無増悪生存期間が有意に延長したというフランスの多施設共同無作為化フェーズ3試験の結果です。University Hospital in StrasbourgのElisabeth Quoix氏が発表しました。

 Quoix氏らは、70〜89歳のNSCLC患者(Performance status 0-2で放射線治療を受けていない患者)を対象に、併用療法群と単剤療法群の2群に分けて試験しました。その結果、生存期間中央値は併用療法群が10.3カ月、単剤療法群が6.2カ月で、併用療法群で有意に延長していました。治療関連死亡は単剤群1.8%、併用群6.6%でした。

 この発表から示唆されることは、治療法を年齢だけで判断してはいけないということでしょう。このレジメンをそのまま日本に当てはめる必要はありませんが、標準的な治療が可能な高齢者には併用療法を行うという方向になるのではないかと思います。

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