スニチニブによる治療を受けた転移性腎細胞癌患者の薬理遺伝学的な解析から、薬物動態に関与する3つの遺伝子の遺伝的多型が無増悪生存期間(PFS)と相関し、スニチニブへの曝露を減らす予測因子となる可能性が示された。6月4日から8日までシカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、オランダErasmus University Medical Center、Daniel den Hoed Cancer CenterのKarel Eechoute氏が発表した。

 経口のマルチターゲット型チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)のスニチニブは、転移性腎細胞癌に対し、インターフェロン-αと比較してPFSと全生存期間(OS)を延長することが示されている。

 Eechoute氏らは、転移性腎細胞癌患者のPFSとOSの延長に関与するスニチニブの薬物動態および薬力学に関与する遺伝的多型の同定を目的として、薬理遺伝学的な解析を行った。

 対象は、オランダの5施設でスニチニブによる治療を受けた転移性腎細胞癌患者136人。

 12の候補遺伝子中、31の遺伝的多型について、12の臨床特性とともにKaplan-Meier 法で単変量解析を行った。p値が0.1以下の変数については、Cox回帰モデルで多変量解析を行った。本解析の主要転帰はPFS、副次的転帰はOSであった。

 その結果、PFSが有意に改善されたのは、以下の3つの遺伝子プロファイルが認められる場合であることがわかった。

 ABCB1ハプロタイプにTCGが存在する場合(3435C/T、1236C/T、2677G/T)(ハザード比0.522、p=0.033)。チトクロームP450(CYP)3A5 6986A/GにA-allele(対立遺伝子)が存在する場合(ハザード比0.266、p=0.032)。さらにNR1/3ハプロタイプにCATが存在すると(5719C/T、7738A/C、7837T/G)、PFSは有意に減少した(ハザード比1.758、p=0.017)ことから、CATが存在しない場合。

 PFSの中央値は、これらの遺伝学的プロファイルを認める患者では有意に良好で13.1カ月、同プロファイルを認めない患者では7.5カ月であった(p=0.001)。

 OSの中央値も、これらの遺伝学的プロファイルを認める患者で19.9カ月、同プロファイルを認めない患者で12.3カ月と有意差を認めた(p=0.009)。

 PFSおよびOSに有意に相関した臨床特性は、MSKCC(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)のリスク分類であった。PFSのハザード比は1.988、OSのハザード比は 2.273であった(いずれもp<0.001)。

 Eechoute氏は「今回認められた薬物動態の遺伝的多型はPFSの独立した予測因子で、個々の患者のスニチニブへの曝露を減らすことにつながる可能性がある。さらに前向きな薬物動態の研究が必要」と話した。
 
 今回の解析では、PFSの独立した予測因子となる薬力学的な遺伝的多型は認められなかった。