白金系抗癌剤ベースの化学療法に不応となった頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)に対し、EGFRを標的とするzaltumumabによる治療は全生存期間(OS)で良好な成績を示したものの、有意な改善には至らなかったことがフェーズ3試験の結果から示された。無増悪生存期間(PFS)は有意に改善し、安全性プロファイルは予測される範囲のものであった。6月4日から8日までシカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、ベルギーCliniques Universitaires Saint-LucのJ. P. Machiels氏が発表した。

 上皮成長因子受容体(EGFR)の過剰発現は、SCCHNの転帰が不良であることと相関する。再発性または転移性のSCCHNに対するファーストラインの緩和治療として、白金系抗癌剤をベースとした化学療法が確立されている。しかし、この治療に不応となった患者において、抗EGFRモノクローナル抗体がOSやPFSを改善することを証明した無作為化対照試験はなかった。

 zaltumumabはEGFRを標的とする新しい完全ヒトIgG1モノクローナル抗体で、EGFRのシグナル伝達を阻害する。

 Machiels氏らはオープンラベルのフェーズ3並行群間試験を行い、zaltumumabの週1回の点滴静注と支持療法(BSC)を行う群と、BSCのみを行う群を比較した。BSCのみを行う群にはオプションとしてメトトレキサート(MTX)の投与を可とした。主要評価項目はOS、副次的評価項目の最重要項目をPFSとした。

 白金系抗癌剤をベースとした化学療法施行中または施行後6カ月以内に進行したSCCHNの患者286人を登録し、zaltumumab+BSC群に191人(年齢中央値57歳、男性88%)、BSC群に95人(同58歳、87%)を無作為に割付けた。遠隔転移を認めたのはzaltumumab+BSC群65%、BSC群66%、ECOG PSが2の患者の割合は18%と17%で、両群に差はみられなかった。

 EGFRを標的とする治療を評価する試験において、発疹の発現は生存と相関する。この試験では、zaltumumabの開始時の用量を8mg/kg、次の2回は4mg/kgとし、3週目以降は個々の患者でタイトレーションを4〜16mg/kgの間で行った。発疹のグレードが0〜1の場合は2週毎に4mg/kgずつ増量、グレード2となった場合はその前の用量とし、グレード3となった場合はグレード1となるまで投与を中断した。投与は進行まで継続し、CTまたはMRIによる評価を8カ月毎に行った。

 zaltumumabの投与回数の中央値は15回(範囲:0〜101回)、BSC群でメトトレキサートを投与した患者は74人(78%)だった。

 OSの中央値はzaltumumab+BSC群で6.7カ月、BSC群で5.2カ月、ハザード比は0.77で、有意差は認められなかった(p=0.0648)。6カ月時の生存率は57%と42%であった。

 一方、PFSの中央値はzaltumumab+BSC群で9.9カ月、BSC群で8.4カ月、ハザード比は0.62で、有意差を認めた(p=0.0010)。26週時のPFSの割合は20%と7.3%であった。

 zaltumumab+BSC群の完全奏効(CR)は2人、部分奏効(PR)は10人、全奏効率は6%であったのに対し、BSC群ではPR1人、全奏効率は1%であった。病勢コントロール率は48%と27%だった。

 有害事象として、グレード3の発疹をzaltumumab+BSC群で21%に認めたが、グレード4の発疹は発現しなかった。同群でみられたその他のグレード3または4の有害事象は、貧血6%、肺炎5%、頭痛3%、低マグネシウム血症3%などであった。zaltumumabの安全性プロファイルは予測された範囲のものであった。