原発巣と再発巣のホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)の状態は30%以上の患者で異なることが明らかになった。6月4日から8日までシカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、スウェーデンKarolinska Institutet Cancer CenterのEva Karlsson氏が発表した。同氏は再発時にも生検を行う必要性を強調している。

 これまでにもホルモン受容体の状態は原発巣と再発巣で異なることが報告されてはいるが、「転移性乳癌は原発巣の特徴に基づいて治療が行われている」とKarlsson氏。そこで1997年から2007年に再発した患者を対象にレトロスペクティブにエストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PR)の状態を調べ、原発巣と再発巣で比較した。

 ERとPRの状態は免疫組織化学(IHC)法で決定したが、IHCが困難な場合は免疫細胞化学(ICC)法を用い、さらにそれが困難な場合は生化学的手法で決定した。

 ERは486人、PR は456人で原発巣と再発巣のデータが得られた。それらを比較した結果、ERは27%の患者で原発巣の陽性から再発時には陰性に、8%の患者では陰性から陽性に変わっていた。PR は38%の患者で陽性から陰性に、5%の患者で陰性から陽性に変わっていた。つまり病勢進行で3人に1人はホルモン受容体の状態が変化していることになる。

 診断からの生存期間を比べると、原発巣の状態に関わらず、再発時にER陰性の患者はER陽性の患者に比べて予後が悪いことが示された(p<0.0001)。また原発巣も再発巣もER陽性の患者に対し、原発巣は陽性だが再発巣(局所再発と転移)が陰性の患者のハザード比は1.49(95%信頼区間 1.05-2.11)と死亡リスクが高く、さらに転移巣に限るとハザード比は1.91(同 1.29-2.84)だった。

 再発時のERの状態が生存に影響することから、「転移性乳癌に対して原発巣の特徴を基にした治療は適切ではない。転移の疑いのある部位の生検が診断の精度を高め、より良い治療につながるだろう」と述べた。

 なおこの研究の短所として、IHC・ICCによる結果と生化学的手法による結果の一致率は高い(ERでは82〜93%)が、IHC・ICCで偽陰性あるいは偽陽性の可能性もある程度は否定できないという。