進行膵癌患者に対して、一次治療としてゲムシタビン+エルロチニブを用い、治療不成功となった時点でカペシタビンに切り替えた場合と、一次治療にカペシタビン+エルロチニブを用い、治療不成功の時点でゲムシタビンに切り替えた場合では、全体の治療成功期間に差が出ないことが分かった。ただし、一次治療の治療成功期間はゲムシタビンを一次治療に用いた方が長かった。ドイツAIOが統括した無作為化クロスオーバーフェーズ3臨床試験の結果で、ミュンヘン大学のS. H. Boeck氏が、6月4日から8日までシカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で発表した。

 進行膵癌に対するファーストライン治療は、標準治療薬であるゲムシタビン(Gem)を柱に、近年はエルロチニブ(E)との併用が標準的になりつつある。一方、耐性出現などのためにゲムシタビンの治療効果が低下した場合のセカンドライン治療については明確な指針がない。

 このような背景から、研究グループは、現在標準的なGem+E併用をファーストラインとし、治療不成功となった時点でセカンドラインとしてカペシタビン(Cap)に切り替えるレジメンと、Cap+E併用をファーストラインとし、Gemをセカンドラインとするレジメンの有効性と安全性を比較した。

 対象は、未治療の局所進行性または転移性の膵癌患者のうち、全身状態(Karnovsky perfomance scaleが60%以上)、腎機能、肝機能、骨髄機能が良好な例とした。対象者をGem+E→Cap群(132人)とCap+E→Gem群(147人)に無作為に割り付けた。両群とも、Gemは1000mg/m2、30分の週1回投与を7回行い、その後は4週サイクルの第1、8、15日に投与した。Eは150mgの1日1回経口投与、Capは2000mg/m2を3週サイクルの第1〜14日に経口投与した。

 主要評価項目としたファーストラインとセカンドラインの治療成功期間の合計(TTF2)の中央値は、Cap+E→Gem群が4.4カ月、Gem+E→Cap群が4.2カ月で有意差がなかった(ハザード比0.98、p=0.43)。

 全体を合わせた全生存期間の中央値は、Cap+E→Gem群が6.9カ月、Gem+E→Cap群が6.6カ月で同じく有意差がなかった(ハザード比0.96、p=0.78)。1年全生存率はCap+E→Gem群で23%、Gem+E→Cap群で22%だった。

 一方、ファーストラインのみの治療成功期間(TTF1)は、Cap+E群が2.4カ月、Gem+E群が3.4カ月で、Gem+Eの方が有意に長かった(ハザード比0.69、p=0.0036)。

 逆に、セカンドラインのみの治療成功期間(TTFc)は、Gem群が2.5カ月、Cap群が1.9カ月でGemの方が有意に長かった(ハザード比1.74、p=0.0017)。セカンドラインのみでの全生存率も、Gem群4.7カ月、Cap群3.1カ月でGemの方が有意に高かった(ハザード比1.49、p=0.030)。

 ファーストラインでの奏効率は、完全寛解(CR)と部分寛解(PR)と安定(SD)の合計が、Cap+E群で28%、Gem+E群で33%だった。特に部分寛解(PR)はCap+E群で4%、Gem+E群で8%だった。

 ファーストラインでの副作用は、Gem+E群で白血球減少が多く、グレード1以上はCap+E群で8%、Gem+E群で45%、グレード3/4はそれぞれ0%、5%だった。血小板減少もGem+E群で多く、グレード1以上は6%、32%、グレード3/4は2%、7%だった。逆に手足症候群はCap+E群が多かった(グレード1以上が30%と8%)。

 以上の結果から、Boeck氏は、ファーストライン治療としてはGem+Eが優れるが、進行膵癌に対するCap+E→GemレジメンはGem+E→Capレジメンに対して非劣性だったと結論。登録対象279人のうち141人(51%)が、規定の方針に沿ってセカンドライン治療まで行えた意義についても強調した。