転移性乳癌患者のファーストラインの化学療法としてpegylated liposomal doxorubicin(PLD)またはカペシタビンを使用したフェーズ3試験から、無増悪期間(TTP)における同様の有効性が示された。PLDの忍容性のプロファイルは良好で、TTPがアントラサイクリンによる補助療法の影響を受けないことから、次に行う治療の選択肢を広げる可能性があると考えられる。6月4日から8日までシカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、ドイツKrankenhaus NordwestのE. Jager氏が発表した。

 PLDとカペシタビンは、転移性乳癌などの広範な固形腫瘍で顕著な抗腫瘍活性を示す。
 
 Jager氏らは、フェーズ3のPELICAN試験をデザインし、転移性乳癌のファーストライン治療におけるPLDとカペシタビンの有効性と安全性を比較した。
 
 対象は転移性乳癌患者210人。PLD群に105人(年齢中央値62歳)、カペシタビン群に105人(同63歳)を無作為に割り付けた。両群ともECOG PS 0または1の患者が90%以上を占めた。過去にアントラサイクリンによる補助療法を受けたのはPLD群39人(37%)、カペシタビン群38人(36%)だった。

 ファーストライン治療として、PLD 50mg/m2は28日ごとに静脈内投与、カペシタビン1250mg/m2は1日2回で14日間、21日ごとに経口投与し、進行または受容不能な毒性が発現するまで継続した。主要目的は、両剤のTTPを比較することであった。

 患者はPLD群、カペシタビン群ともに中央値で5サイクルずつの治療を受けた。TTPの中央値は、PLD群6.2カ月、カペシタビン群7.1カ月であった(p=0.31)。アントラサイクリンによる補助療法を受けていない患者と受けた患者でTTPを比較すると、PLD群ではそれぞれ6.9カ月と5.9カ月(p=0.4901)、カペシタビン群では9.0カ月と4.8カ月だった(p=0.0207)。

 不確定の完全奏効はPLD群5.7%、カペシタビン群2.3%、部分奏効はPLD群17.2%、カペシタビン群22.1%。全奏効率はPLD群22.9%、カペシタビン群24.4%となった(p=0.86)。

 全生存期間の中央値はPLD群22.4カ月、カペシタビン群29.4カ月だった(p=0.44)。

 グレード3または4の有害事象の発現をみると、カペシタビン群ではPLD群と比べて下痢と血栓塞栓の事象が有意に多く、割合はそれぞれ12%対0%(p=0.0002)、10%対2%(p=0.0186)だった。手足症候群はカペシタビン群26%、PLD群36%だった(p=0.1352)。