局所進行性または転移性の甲状腺髄様癌に対するバンデタニブの有効性と安全性が、国際的な無作為化プラセボ対照フェーズ3臨床試験で確かめられた。無増悪生存期間、奏効率、疼痛抑制などいずれの評価項目でもバンデタニブがプラセボより有意に優れていた。米National Cancer InstituteのS. A. Wells氏が、6月4日から8日までシカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2010)で発表した。

 甲状腺髄様癌(MTC)は甲状腺癌の約3〜5%を占め、遺伝性のものが約25%、孤発性が約75%とされる。遺伝性患者のほぼ100%、孤発性患者の50%以上でRET遺伝子に突然変異が認められる。

 バンデタニブは、RET、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)を阻害する経口分子標的薬だ。フェーズII試験では、進行した遺伝性MTC患者で抗腫瘍活性が示されている。

 今回のフェーズ3試験では、局所進行性または転移性MTC患者331人(遺伝性33人、孤発性または不明298人)をバンデタニブ群とプラセボ群に二重盲検下で無作為に割り付け、バンデタニブ群には300mgの1日1回経口投与を行った。ただし、患者に病状悪化が認められた場合にはオープンラベル下でバンデタニブ300mgを投与することとした。この結果、登録者のうちバンデタニブ群が231人、プラセボ群が100人となった。追跡期間の中央値は24カ月だった。

 主要評価項目とした無増悪生存期間(PFS)は、バンデタニブ群は中央値に未達で、プラセボ群では中央値19.3カ月であり、ハザード比は0.46(95%信頼区間 0.31-0.69)と、バンデタニブ群で有意な延長が認められた(p<0.0001)。オープンラベル下でバンデタニブを投与した患者を除外した分析でもバンデタニブ群が優れていた(ハザード比0.27、95%信頼区間 0.18-0.41、p<0.0001)。

 また、腫瘍に対する客観的奏効率はバンデタニブ群が45%、プラセボ群は13%であり、オッズ比5.48(95%信頼区間 2.99-10.79)でバンデタニブ群が有意に優れていた(p<0.0001)。

 MTCで高値であるカルシトニン、癌胎児性抗原(CEA)の値が正常範囲に回復した割合を表す生化学的奏効率は、カルシトニンについてはバンデタニブ群69%、プラセボ群3%、CEAについてはそれぞれ52%と2%であり、いずれもバンデタニブ群が有意に優れていた(p<0.0001)。

 疼痛悪化までの期間の中央値についても、バンデタニブ群7.85カ月、プラセボ群3.25カ月で、バンデタニブ群が有意に優れていた(p=0.006)。

 グレード3/4の副作用のうち、バンデタニブ群で頻度が高かったものは、下痢(11%)、高血圧(9%)、心電図QT延長(8%)、倦怠感(6%)、食欲低下(4%)などだったが、いずれも管理可能な範囲であり、副作用による治療中止例は12%にとどまった。

 これらの好成績を受けて、バンデタニブは進行性や転移性のMTCに対する効果と安全性が実証された初の治療薬として近く承認されるとみられる。