新たに診断された慢性骨髄性白血病の患者で慢性期にある人々を対象とするENESTnd試験の、18カ月時点の結果が明らかになった。分子遺伝学的寛解(MMR)達成率は、イマチニブ投与群に比べニロチニブ300mgまたは400mg群で一貫して高かった。米Chicago大学のP.A. Larson氏が第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で報告した。

 ニロチニブは強力かつ選択的なBCR-ABL阻害薬。現在、慢性骨髄性白血病(CML)に対する標準治療として用いられているのは、やはりBCR-ABLを標的とするイマチニブだ。

 イマチニブとニロチニブの有効性と安全性を比較する無作為化フェーズIII試験であるENESTnd試験は、35カ国の217施設で進行中で、割り付けから5年間の追跡が予定されている。追跡期間の中央値が13.8カ月の時点の結果は昨年のASH2009で報告された。今回は、約18.5カ月時点となる2010年1月2日までに得られたデータが報告された。

 対象となったのは、18歳以上でCMLの診断から6カ月以内、慢性期(CP)にあるフィラデルフィア染色体陽性の患者。ヒドロキシウレア、アナグレライド、2週間以内のイマチニブ投与以外の治療歴がなく、ECOG PSは0-2、心電図から得たQT間隔をFridericia式により補正したQTcFが400msec未満、臓器の機能が維持されていることを組み込み条件とした。

 846人の患者を登録し、無作為にニロチニブ300mgを1日2回(282人)、ニロチニブ400mgを1日2回(281人)、イマチニブ400mg/日(283人)のいずれかに割り付けた。

 主要エンドポイントは、分子遺伝学的寛解(MMR)*を達成した患者の割合に設定。分析はintention-to-treatで行った。

 評価時点でイマチニブ群の75%、ニロチニブ300mg群の80%、ニロチニブ400mg群の81%が引き続き治療を受けていた。評価時点までの治療期間の中央値は、ニロチニブ300mg群が18.6カ月、400mg群が18.5カ月、イマチニブ群は18.1カ月だった。

 先に報告されたように、12カ月の時点のMMR達成率は、イマチニブ群に比べニロチニブ群で有意に高かった。イマチニブ群が22%、ニロチニブ300mg群が44%(イマチニブ群に比べp<0.0001)、400mg群が43%(p<0.0001)。

 PCRによるMMR判定が行われていた患者を対象に18カ月時のMMR達成率を調べたところ、ニロチニブ300mg群では173人中の69%、400mgでは175人中63%、イマチニブ群では172人中の36%だった。24カ月の時点の標本が評価できた患者のMMR達成率は、それぞれ49人中86%、48人中88%、48人中48%となった。

 MMR達成率は、全ての分析においてニロチニブ群で有意に高かった。

 細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)**の達成率もニロチニブ群のほうが高かった。12カ月時のCCyRはイマチニブ群が65%、ニロチニブ300mg群が80%(p<0.0001)、400mg群は78%(p=0.0005)。18カ月の時点では89%、99%、99%だった。

 細胞遺伝学的評価において、反応が不十分だった患者の割合と治療失敗となった患者の割合はイマチニブ群で高かった(8%)。ニロチニブ300mg群は6%、400mg群は2%。

 慢性期(CP)から移行期(AP)、急性転化期(BC)への進行はニロチニブ群で少なかった。イマチニブ群が3.5%、ニロチニブ300mg群は0.7%(P=0.0095)、400mg群が0.4%(p=0.0037)。

 予期せぬ有害事象は見られなかった。嘔吐、下痢などはイマチニブ群に多く発生し、発疹、頭痛などはニロチニブ群に多かった。

 有害事象による、または検査値の異常による治療中止は、ニロチニブ300mg群で最も少なかった(7%)。ニロチニブ400mg群は12%、イマチニブ群は9%。

 死亡はニロチニブ300mg群が5人、400mg群は2人、イマチニブ群は9人。うち白血病関連死亡はそれぞれ2人、1人、8人だった。18カ月時点の全生存率は98.5%、99.3%、96.9%となった。

 以上のように、追跡期間が長くなってもニロチニブの優越性は維持されていた。

*分子遺伝学的寛解(MMR:Major Molecular Response)=PCRで測定されたbcr-abl遺伝子レベルを指標とした効果判定基準。bcr-abl遺伝子レベルが1/1000(3log)以下に低下した場合にMMR達成と判定する。
**細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)=骨髄由来標本中のフィラデルフィア染色体陽性細胞が20個以上からゼロになった場合にCCyR達成と判定する。