ホルモン療法抵抗性の転移性前立腺癌の患者を対象に、ドセタキセル+プレドニゾンに抗VGEF抗体であるベバシズマブを追加した場合の生存利益を調べた無作為化二重盲検フェーズ3 CALGB90401試験で、主要エンドポイントに設定された全生存期間は、ドセタキセル+プレドニゾン+プラセボ群に比べ長い傾向が見られたものの、差は有意にならなかった。詳細は米Yale大学のW. K. Kelly氏によって、シカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で6月6日に報告された。

 前臨床試験ではVGEFを阻害する治療が前立腺癌患者に生存利益をもたらす可能性が示されていた。またKelly氏らのグループが先に行った、エストラムスチンとドセタキセルをベバシズマブと併用したフェーズ2試験の結果は、VEGFの阻害がホルモン療法抵抗性の転移性前立腺癌に対する強力な治療戦略になりうることを示した。

 そこでKelly氏らは、ベバシズマブを標準治療であるドセタキセルとプレドニゾンに追加した場合の有効性を評価するフェーズ3試験を行った。

 化学療法歴の無いホルモン療法抵抗性転移性前立腺癌で、全身状態を示すECOG PSは0-2、骨髄、肝臓、腎臓の機能が維持されている患者1050人を登録した。外科的切除または放射線外部照射を受けた患者については、それらから4週間以上経過していること、小線源療法を受けた患者については8週以上経過していることを組み込み条件とした

 1対1で、ドセタキセル(75mg/m2を21日おきに静脈内投与)+プレドニゾン(5mgを1日2回経口投与)+ベバシズマブ(15mg/kgを21日おきにドセタキセルに続いて静脈内投与)(524人)、またはドセタキセル+プレドニゾン+プラセボ(526人)に割り付けた。ドセタキセルの静脈内投与に先がけて全員にデキサメタゾンの前投与を行った。

 主要エンドポイントは全生存期間に設定し、intention-to-treatで層別化ログランク検定により分析した。2次エンドポイントは無増悪生存期間、PSA値の半減、毒性とした。

 最終分析は748人が死亡した時点で行われた

 両群ともに中央値8サイクルの治療を受けていた。

 全生存期間の中央値はベバシズマブ群が22.6カ月(95%信頼区間 21.1-24.5)、プラセボ群が21.5(同 20.0-23.0)で、ハザード比は0.91(同 0.78-1.05、p=0.181)となった。

 サブグループ解析の結果は、一部の患者(ヘモグロビン値が低いグループ、乳酸デヒドロゲナーゼ値が高いグループ、テストステロン値が低いグループなど)においては、プラセボ群に比べベバシズマブ群の全生存期間が有意に長いことを示した。

 無増悪生存期間の中央値はベバシズマブ群9.9カ月(95%信頼区間 9.1-10.6)、プラセボ群7.5カ月(同 6.7-8.0)でハザード比は0.77(同 0.68-0.88、p<0.0001)になった。また、PSA値が50%以上低下した患者の割合はそれぞれ69.5%と57.9%(p=0.0002)、客観的奏効率は53.2%と42.1%(p=0.0113)で、いずれも差は有意だった。

 治療関連のグレード3以上の有害事象はベバシズマブ群の74.8%、偽薬群の55.3%に見られた(p<0.001)。治療関連死亡もそれぞれ4.4%と1.1%(p=0.0014)と、ベバシズマブ群で有意に多かった。

 なお、重症有害事象の発生率はどれもベバシズマブ群のほうが高かったが、血栓塞栓症のみベバシズマブ群のほうが少なかった(4%と7%)。

 無増悪生存期間やPSA値の改善、客観的奏効率においてはベバシズマブ群に有意な利益が見られたが、全生存期間の差は有意にならず、重症有害事象や死亡はベバシズマブ群で多かった。

 今回の試験は明瞭な情報を与えなかったため、さらなる研究が必要だが、もしベバシズマブ追加による生存利益が明らかになったとしても、利益とリスクのバランスについて慎重に検討する必要があるとKelly氏は述べた。