転移性腎癌でソラフェニブを長期投与(12〜42カ月)している患者では、手足症候群や下痢、脱毛症といった有害事象は治療開始0〜6カ月以内の初期に発生することが多く、投与期間を延長しても発生率が増加することは少ない。米Taxas Oncology at Baylor Charles A.Sammons Cancer CenterのHutson T.E氏らが、ソラフェニブにおける12カ月以上の長期投与の安全性について検討した試験で明らかになった。6月4日から8日までシカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で発表された。

 ソラフェニブは2005年に初めてのチロシンキナーゼ阻害剤としてFDA(米国食品医薬品局)の承認を受けて以降、日本では2008年に承認され、転移性腎癌の治療において広く使われている。細胞増殖阻害作用とともに血管新生阻害作用を主作用とし、薬剤関連性有害事象としては、手足症候群や皮疹、脱毛症、下痢や倦怠感などが報告されてきた。だが、12カ月以上の長期投与例での忍容性についての報告は限られていた。

 対象は、世界各国のソラフェニブに関する8つの臨床研究に登録されている患者のうち、データベースから転移性腎癌でソラフェニブ投与を受けているとして抽出された4684人。その中から12カ月以上連続して投与を受けている患者を選択した。

 4684人中、ソラフェニブを12カ月以上投与されていた患者は707人。平均投与期間は18.8カ月(12.0−51.2カ月)だった。平均年齢は62歳(13-87歳)で、75%が男性だった。患者の多くはPerformance stasusが良好で(PS 0:57%、1:34%、2:4%)、ソラフェニブによる治療前に70%の患者がインターフェロン治療を、94%が腎臓摘出術を受けていた。肺に転移が見られる人が多く(74%)、骨転移や肝転移は比較的少なかった(22%、20%)。
 
 この707人において、ソラフェニブの投与期間を6カ月間隔で7つの群に区切り、それぞれの時期における薬剤関連性有害事象(drug-related adverse events:DRAEs)などの発生率を検討した。各投与期間における評価対象患者は、投与開始0-6カ月は707人、6−12カ月707人、12−18カ月707人、18−24カ月384、24−30カ月160、30−36カ月70人、36−42カ月28人となった。

 各期間ごとの薬剤関連性有害事象の発生率は、0-42カ月間のどの期間においても、グレード1、2の程度の軽いものが多くを占め、長期間投与を続けてもそれによってDRAEsを増加させないことが分かった。

 主な個別の有害事象の発生率をグレード(G)別に見ると、脱毛症や発疹・落屑、倦怠感といった有害事象は、投与期間が長くなるにつれて減少していく傾向だった。脱毛症は、0-6カ月ではG1-2が40%だったが、徐々に軽減して36-42カ月では14%になった(G3-4は発生なし)。発疹・落屑は、同じくG1-2が36%、G3-4が4%だったのが、それぞれ18%、0%まで減少した。

 一方、下痢や手足症候群は長期まで継続的に残っていたものの、重篤なケースは減少した。手足症候群は、0-6カ月ではG1-2が47%、G3-4が10%だったのが、36-42カ月ではそれぞれ32%、0%まで改善。下痢は同じくG1-2が55%、G3-4が4%だったのが、57%、0%となった。

 これらの有害事象はすべて、投与開始から最初の6カ月以内に最も高頻度で起こり、6カ月以降に初発で発生する率は少ないことが分かった。

 また、ソラフェニブの1日平均投与量は各期間とも641〜697mg/日で維持されており、治療開始から時間が経ってもほとんどが標準量前後の用量で投与されていた。