局所進行型頭頸部扁平上皮癌の非切除例をラパチニブまたはプラセボに割り付けて化学放射線療法を併用し、その後の転帰を比較した国際的な無作為化フェーズ2試験は、全てのエンドポイントにおいてラパチニブの有効性を示唆する結果となったが、プラセボ群との間に有意な差は見られなかった。英Royal Marsden病院のK.J. Harrington氏が、シカゴで開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で6月7日に報告した。

 ラパチニブは、EGFRとHER2という2種類の受容体型チロシンキナーゼを可逆的に阻害する低分子経口薬。頭頸部扁平上皮癌にはEGFRの過剰発現がしばしば見られること、発現は予後不良の予測因子であることから、ラパチニブは頭頸部腫瘍治療においても有効と期待されている。

 Harrington氏らは、概念実証研究となるフェーズ2の対象に、局所進行型でステージIII/IVA/IVBの頭頸部扁平上皮癌(口腔、中咽頭、下咽頭、喉頭の癌)の非切除例を選んだ。2006年11月から2009年1月まで、9カ国で67人(年齢の中央値は56歳)を登録。全身状態を示すECOG performance status 0-2を組み込み条件とした。

 1対1でラパチニブ150mg/日(34人)またはプラセボ(33人)に割り付け、当初1週間は割り付け薬のみを投与。続いて、割り付け薬を投与しながら、シスプラチン100mg/m2を1日目、22日目、43日目に投与、並行して放射線療法(総線量70Gy/35分割/7週間)を実施した(化学放射線療法)。化学放射線療法が6-7週間で終了した後には、進行が見られるまで、ラパチニブまたはプラセボを維持療法として投与した。投与を中止した患者についても追跡を継続した。

 主要エンドポイントは、化学放射線療法後6カ月の時点の完全奏効率に設定した。2次エンドポイントは無増悪生存期間、全生存期間、腫瘍の局所制御、安全性などに設定された。分析はintention-to-treatで行った。

 登録された67人のベースラインの特性は、ECOG PS 0が52%、1が45%、2が3%で、18%がステージIII、82%がステージIVの患者だった。また、中咽頭癌が64%を占め、下咽頭癌が16%、喉頭癌が12%、口腔癌は7%だった。

 追跡期間の中央値は、無増悪生存期間については12.8カ月、全生存期間については17.3カ月だった。

 化学放射線療法中のグレード3/4の有害事象は、ラパチニブ群、偽薬群の両方に見られた。グレード3の発疹と下痢はラパチニブ群に多かった。化学放射線療法とラパチニブを併用するレジメンの忍容性は高かった。

 化学放射線療法終了から6カ月の時点の完全奏効率は、偽薬群が36%、ラパチニブ群が53%、全奏効率は48%と65%で、いずれもラパチニブ群のほうが好ましい結果となった。しかし完全奏効のオッズ比は2.2(95%信頼区間 0.7-7.0)で差は有意ではなかった。

 2次エンドポイントについては、無増悪生存期間の中央値は12.1カ月と20.4カ月でハザード比は0.73(95%信頼区間 0.37-1.44)、全生存期間の中央値は23.0カ月と30.9カ月でハザード比は0.84(同 0.40-1.74)、腫瘍の局所制御については累積増悪率に基づいてハザード比を求めたところ0.57(同 0.25-1.29)となり、いずれも、ラパチニブ群のリスク減少が示唆されたが、両群間の差は有意ではなかった。

 得られた結果は、ラパチニブを化学放射線療法と併用した場合の忍容性は高いこと、単剤でも安全であること、プラセボに比べラパチニブ群の転帰が良好になる可能性があることを示唆した。