非小細胞肺癌(NSCLC)に対する抗腫瘍効果が報告されている新たなチロシンキナーゼ阻害剤のBIBW 2992が、頭頸部癌にも有望であることが明らかになった。6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、米Chicago Medical CenterのTanguy Seiwert氏がフェーズ2試験の結果を発表した。

 BIBW 2992は、上皮成長因子受容体(EGFR)と上皮受容体増殖因子2型(HER2)という2つの受容体型チロシンキナーゼに不可逆的に結合する初の経口抗癌剤。

 対象は、プラチナ系薬剤などによる治療が無効となった転移性または再発性の頭頸部癌患者120人。試験は、患者をセツキシマブ毎週静注群60人とBIBW 2992毎日経口摂取群60人に無作為割付し、病勢進行または有害事象などにより治療続行不可能と判断したときには、セツキシマブ群にBIBW 2992を、BIBW 2992群にセツキシマブを投与して、さらに病勢進行まで治療を継続するクロスオーバー方式で行われた。主要エンドポイントは、クロスオーバー前までの腫瘍縮小効果とした。

 試験脱落者を除いたクロスオーバー前までの腫瘍縮小効果は、BIBW 2992群47人では30%以上の縮小が15人、0〜30%未満の縮小が10人、0〜20%未満の増加が14人、20%以上の増加が8人だった。一方、セツキシマブ群54人では30%以上の縮小が6人、0〜30%未満の縮小が18人、0〜20%未満の増加が18人、20%以上の増加が12人だった。

 試験全体での完全奏効+部分奏効は、BIBW 2992群13人(21.7%)、セツキシマブ群8人(13.3%)とBIBW 2992群が優れていた。病勢コントロール率は、BIBW 2992群34人(56.7%)、セツキシマブ群37人(61.7%)だった。無増悪生存期間中央値は、BIBW 2992群が16週(95%信頼区間 10-19)、セツキシマブ群が10週(95%信頼区間 8-17)だった。

 有害事象に関しては、グレード3/4の下痢について、BIBW 2992群で23.4%、セツキシマブ群で6.7%と有意差があったものの、皮膚障害や吐き気、倦怠感などには両群に大きな差はみられなかった。脱水、鼻出血、脱力感はBIBW 2992群でセツキシマブ群よりも多くみられたが、重篤なものではなかった。

 Seiwert氏は、「限られた規模のデータではあるが、BIBW 2992は頭頸部癌に対し、少なくともセツキシマブと匹敵する有効性があると期待できる」と強調し、BIBW 2992が、現在治療の選択肢が少ない頭頸部癌治療の新たな選択肢になり得るとの見方を示した。