luminal乳癌に対するネオアジュバント治療の成績は化学療法の方がホルモン療法よりも優れる傾向にあり、特に閉経前、ERのAllredスコアが高値、またはKi67が10%を上回る患者で化学療法の方が有意に臨床的奏効率が高いことが示された。一方、副作用はホルモン療法の方が少なかった。6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2010)で、スペインHospital Universitario Virgen de la VictoriaのE. Alba氏が発表した。

 今回報告されたのは、スペイン乳癌研究グループ(GEICAM)が統括した多施設無作為化フェーズ2臨床試験「GEICAM 2006-03」の結果だ。

 luminalサブタイプの乳癌ではネオアジュバント化学療法による病理学的完全奏効(pCR)率が低く、臨床的奏効率も明確でない。一方、ER陽性やPR陽性の患者ではネオアジュバント・ホルモン療法が有効とされるが、広く使用されるには至っていない。

 このため、研究グループは、luminal乳癌の患者に対するネオアジュバント療法としての化学療法(CT)とホルモン療法(HT)の有効性と安全性を比較検討した。

 対象は、手術可能な乳癌患者(T2/T3)のうち、免疫組織化学検査でluminalサブタイプと確認された患者。これを化学療法群とホルモン療法群に無作為に割り付け、CT群にはエピルビシン90mg/m2+シクロホスファミド600mg/m2を4サイクル、その後にドセタキセル100mg/m2を4サイクル投与した。HT群にはエキセメスタン1日25mgを24週投与し、さらに閉経前患者にはゴセレリン3.6mgを28日毎に追加した。

 主要評価項目はMRIで判定した臨床的奏効率とし、副次評価項目はpCR、安全性、手術のタイプ、手術時の腋窩リンパ節の状態とした。47人をCT群に、48人をHT群に組み入れた。

 その結果、臨床的奏効率は、CT群が66%(うち完全奏効13%、部分奏効53%)、HT群が48%(完全奏効6%、部分奏効42%)であり、CT群で有意に高かった(p=0.07)。pCRが得られたのはCT群の3人で、HT群では0人だった。リンパ節転移や乳房切除術の割合には差がみられなかった。

 サブグループ別の分析では、臨床的奏効率に関して両群間に有意差が認められた因子は、閉経前(CT群75%、HT群44%、p=0.027)、ERのAllredスコアが高値(CT群68%、HT群41%、p=0.026)、腫瘍細胞増殖の指標であるKi67が10%を上回る(CT群67%、HT群42%、p=0.07)であり、いずれもCT群が優れていた。

 グレード3/4の副作用は、CT群で47%(21人)、HT群で9%(4人)とCT群で有意に多く(p=0.0001)、CT群で目立ったのは好中球減少症(CT群16%、HT群0%)、胃腸症状(13%、0%)、倦怠感(9%、0%)、HT群で目立ったのはarthromyalgia(0%、4%)だった。

 Alba氏は、閉経前、ERのAllredスコアが高値、またはKi67が10%を上回る患者では化学療法の奏効率が高かったことを指摘しつつ、閉経後患者やKi67が10%未満の患者ではホルモン療法の効果が同程度であったことから、さらにサブグループ別の前向き研究が必要とした。

 なお、同研究ではbasal-like乳癌患者に対しても同じ比較研究を行っており、近く結果が発表される見込みだ。