癌経験者は、癌治療が終わっても睡眠障害や倦怠感といった後遺症を高頻度で持っており、QOLが障害されているケースは多い。そうした悩みを持つ患者に対してヨガを行うと、睡眠障害や倦怠感が大きく改善する。

 6月4日からシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、米ロチェスター大学メディカルセンターのKaren M.Mustian氏が発表した。

 Mustian氏らは、癌経験者の睡眠障害や倦怠感といった症状の改善法としてヨガの効果を検討するため、ロチェスター大がんセンターcommunity Clininal oncology programの調査拠点(URCC CCOP)を通して、全国多施設のランダム化比較試験を行った。

 対象は、転移のない早期癌の経験者410人。2〜24カ月前に癌の標準治療を完遂しており、中等度から高度の睡眠障害に悩まされている人を対象とした。平均年齢は54歳、96%が女性で、75%が乳癌患者だった。いずれも過去3カ月の間にヨガに参加していなかった。

 通常のケアで経過観察する群(206人)と、通常のケアに加えて4週間の癌患者向けヨガプログラム「YOCAS」(週2回、75分/回)を行う群(204人)に分け、その前後で睡眠やQOL、倦怠感について評価を行った。介入前に客観的な睡眠障害の指標が高かった人(Pittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)スコア5以上)は、ヨガ介入群で84%、通常ケア群で83%と、両群で差がなかった。

 YOCAS(Yoga for cancer survivors)とは、がん経験者向けのヨガプログラムで、呼吸法や瞑想、立位や座位、寝た状態でのポーズといった内容から構成される。CCOPの監修のもと作成された指導用のマニュアルやDVDがあり、本試験では、習得したインストラクターによって全米各地で標準化され実施されている。


 その結果、4週間のプログラム後には、ヨガ介入群では通常ケア群と比較して睡眠の質、倦怠感、QOL、日中の眠気、睡眠薬の使用量のすべてにおいて、有意に改善していた(すべてp<0.05)。
 
 特に改善が大きかったのは、睡眠の質だった(改善率:22%vs12%)。ヨガ介入群では、通常のケアを受けた群と比較して、PSQIによる客観的な睡眠障害(同31%vs16%)や日中の眠気(同29%vs5%)も、より多くの患者で軽減していた。また、睡眠薬の使用頻度について調べると、通常ケア群では、使用頻度が増加した人が5%存在したが、ヨガ介入群では21%の患者で減少していた。

 さらに、倦怠感については、ヨガ介入群の42%が改善したと報告している一方で、通常のケア群では改善している人は12%にすぎなかった。ヨガへの参加でQOLが向上したと報告したのは6%、通常のケア群では、QOLが上がった人はいなかった。

 Mustian氏は、「ヨガは、癌経験者が日常的に悩んでいる睡眠障害や倦怠感を改善するだけでなく、睡眠薬の使用量も減らすことができる。睡眠障害を訴えをする患者には、臨床医はヨガを勧めてもよいのではないか」と話している。