高齢者の進行非小細胞肺癌(NSCLC)において、カルボプラチンパクリタキセルの併用療法を行うと、標準治療である単剤療法と比較して全生存期間や無増悪生存期間が有意に延長する。フランスの多施設共同無作為化フェーズ3試験で明らかになった。6月4日から8日にシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)でフランスのUniversity Hospital in StrasbourgのElisabeth Quoix氏が発表した。

 NSCLCの標準治療は、プラチナ製剤をベースとした併用療法だ。だが、肺癌患者の多くを高齢者が占めるものの、高齢者におけるエビデンスは定まっておらず、長年、単剤による治療が標準とされてきた。「高齢者に特化した臨床試験はほとんどなく、忍容性への配慮から高齢者はしばしば積極的な治療を受けていない」とQuoix氏は指摘する。

 Quoix氏らは、70〜89歳のNSCLC患者(Performance status 0-2で放射線治療を受けていない患者)を対象に、単剤療法群(ゲムシタビン1150mg/m2またはビノレルビン30mg/m2(day1、8))と、カルボプラチンAUC 6 every 4 weeksとパクリタキセル90mg/m2(day1、8、15)併用療法群の2群に分け、単剤療法群は5サイクル、併用療法群は4サイクル行った。

 また、癌の増悪や重篤な有害事象が起きた場合のセカンドラインには、エルロチニブ150mg/日を4週ごとに行うこととした。

 2005〜9年にかけて、451人が登録。男性が73.8%、平均年齢は77.2歳(70-89歳)で、PSは0〜1が73.6%だった。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は、無増悪生存期間、奏効率、グレード3、4の有害事象とした。

 その結果、生存期間中央値は併用療法群が10.3カ月、単剤療法群が6.2カ月で、併用療法群で有意に延長していた(ハザード比0.60、95%信頼区間 0.46-0.78、p=0.0001)。

 また、無増悪期間の中央値は、単剤療法群が3.2カ月だったのに対して併用療法群は6.3カ月であり、2倍近く延長した(ハザード比0.55、95%信頼区間 0.44-0.70、p=0.0004)。1年生存率は、併用療法群で45%、単剤療法群で27%だった。

 有害事象については、グレード3-4の血液学的な毒性が併用療法群で目立った。 特にグレード3/4の好中球減少は、併用療法群の54.3%、単剤療法群の14.3%(ゲムシタビン4.7%、ビノレルビン37.7%)で見られた。非血液学的な毒性は、両群とも頻度は少なく、神経障害(2.9%)、食欲不振(3.8%)、下痢(2.9%)は併用療法群でやや多かった。

 同試験は、開始当初520人の参加を予定されていたが、中間解析で併用療法群の方が有意にOSが延長していたため、途中で中止となった。Quoix氏は、「有害事象は予想していたよりも軽度で、高齢者でも十分受け入れられる。非高齢者と同じ併用療法で予後が有意に改善することが示されており、高齢者のNSCLCの治療は大きな転換期を迎えている」と話している。

 国内でも、従来から、高齢者のNSCLCに対する化学療法は、ドセタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビンといった第3世代抗癌剤の単剤投与が推奨されており、特にドセタキセルの単独投与率が高い。現在、JCOG(Japan Clinical Oncology Group)0803とWJOG(West Japan Oncology Group)4307Lの共同研究として、70歳以上の高齢者NSCLCを対象に、ドセタキセルの単独投与群とドセタキセル・シスプラチン併用群を比較する第3相ランダム化比較試験が進行中だ。