新しいチロシンキナーゼ阻害剤であるBIBW 2992は、以前から非小細胞肺癌(NSCLC)に対する抗腫瘍効果が報告されている。6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)では、台湾と米国で行われこのほど終了したフェーズ2試験「LUX-Lung 2」の結果について、台湾大学病院のC.Yang氏が発表した。

 BIBW 2992は、上皮成長因子受容体(EGFR)と上皮受容体増殖因子2型(HER2)という2つの受容体型チロシンキナーゼに不可逆的に結合する初の経口抗癌剤。

 LUX-Lung 2試験は、2007年10月に治療を受けたことがないまたはファーストライン治療を受けた、ステージIIIB/IVのNSCLC患者を対象に始まった。BIBW 2992は、1日1回50mgもしくは40mg投与で開始し、有害事象の出現によって40mg〜20mgまで減量可能とした。主要エンドポイントは客観的奏効率(ORR)、二次エンドポイントは無増悪生存期間(PFS)だった。

 最終的な登録患者は台湾350人、米国111人の計461人で、このうちEGFR変異を有し、BIBW 2992を投与されたのは台湾104人、米国25人の計129人(男性54人、女性75人、平均年齢61歳)だった。ファーストライン治療が61人、セカンドライン治療が68人だった。

 全患者に対するORRは60%、病勢コントロール率(DCR)は86%だった。PFS中央値は14カ月、全生存期間(OS)中央値は24カ月だった。PFS中央値については、ファーストライン治療の患者で14.7カ月、セカンドライン治療の患者で11.8カ月だった。28カ月以上治療を継続できたのは、ファーストライン治療で38人、セカンドライン治療で20人。

 安全性に関しては、すべての下痢が50mg投与患者で93.9%、40mg投与患者で96.7%と最も多く、グレード3の下痢は50mg投与患者で21.2%、40mg投与患者で6.7%だった。次いで、発疹などの皮膚障害が50mg投与患者で91.9%、40mg投与患者で90.0%で、グレード3の皮膚障害は50mg投与患者で25.3%、40mg投与患者で6.7%だった。爪障害や胃腸障害がこれに続いた。

 グレード4以上の有害事象は、いずれも報告されなかった。有害事象により投与中止に至った患者は10人(8%)だった。

 C.Yang氏は、「今回の試験では、ファーストライン、セカンドラインともに高い有効性が示された。有害事象は他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬と同様であり、薬剤の減量により十分に対処可能だった」とまとめた。