K-ras野生型のステージ3結腸癌患者に対する術後アジュバント療法としてmFOLFOX6にセツキシマブを追加投与しても、mFOLFOX6のみを行った場合と比べて3年無病生存率、3年全生存率ともに改善しないという大規模無作為化試験の結果が明らかになった。米Mayo ClinicのSteven Alberts氏が、6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2010)で発表した。

 この試験は、NCCTG、CALGB、ECOG、NCIC、NSABP、SWOGという複数の臨床研究グループが共同で実施したフェーズ3臨床試験。

 現在、ステージ3の大腸癌に対しては、FOLFOXによる術後アジュバント療法が標準レジメンの一つとなっており、3年無病生存率(DFS)は約70%となっている。一方、抗EGFR抗体薬であるセツキシマブは、K-ras遺伝子が野生型の進行・再発大腸癌の患者で有効性が示されている。また最近、進行大腸癌ではEGFRやVEGFに対する分子標的薬と化学療法薬の併用で治療アウトカムが改善することが示されている。

 こうした背景から、研究グループは、切除可能なステージ3の結腸癌患者のうちK-ras野生型の患者に対する術後アジュバント療法としてmFOLFOX6にセツキシマブを追加することで、治療効果がさらに上乗せされるか否かを評価した。

 対象は、登録したステージ3結腸癌患者2967人のうち、K-ras遺伝子が野生型だった1864人。転移のある例や直腸癌の患者、過去に化学療法や放射線療法を受けた例は除外した。

 この対象者をmFOLFOX6群とmFOLFOX6+セツキシマブ併用群に無作為に割り付け、mFOLFOX6群では1サイクル2週のレジメンを12サイクル行い、併用群ではmFOLFOX6に加えてセツキシマブを各サイクルの第1日と8日に投与した(初回量400mg/m2、以後250mg/m2)。ITT解析対象例はmFOLFOX6群が909人、併用群が955人で、追跡期間の中央値は23カ月だった。

 主要評価項目とした3年DFSは、mFOLFOX6群で75.8%(95%信頼区間 72.1-79.6)、併用群で72.3%(同 68.5-76.4)で、ハザード比は1.2(同 0.96-1.5)と併用群の方がむしろ劣っていたが、有意差はなかった(p=0.22)。

 3年DFSを年齢別にみると、70歳未満(1589人)ではmFOLFOX6群74.8%、併用群73.4%でハザード比1.10だった(p=0.76)。一方、70歳以上(258人)では、mFOLFOX6群80.9%、併用群66.1%、ハザード比1.79であり、特に70歳以上の高齢者で併用群の成績が有意に悪いことが分かった(p=0.03)。

 3年全生存率はmFOLFOX6群87.8%(95%信頼区間 84.7-90.9)、併用群83.9%(同 80.3-87.6)で、ハザード比は1.3(同 0.96-1.8)であり、有意ではないがやはり併用群が劣る傾向がみられた(p=0.13)。

 グレード3/4の副作用の発生頻度は、皮疹(mFOLFOX6群0%/併用群19%)、下痢(9%/15%)をはじめ、いずれもセツキシマブ併用群の方が高かった。

 以上の成績から、Alberts氏は、K-ras野生型の切除後ステージ3結腸癌に対するmFOLFOX6療法にセツキシマブを追加してもベネフィットはないと結論。その一因として、高齢者での成績が不良なことや忍容性の問題に加えて、切除後の微小転移に対するセツキシマブの作用形態がステージ4の進行癌の場合とは異なるのではないかという可能性を挙げた。