カバジタキセル(cabazitaxel)またはミトキサントロンをプレドニゾンとともにドセタキセル治療歴のあるホルモン療法抵抗性の転移性前立腺癌患者に適用したフェーズ3試験、TROPIC試験の最終結果は、カバジタキセルがこの種の患者に生存利益を与えられることを示した。英Royal Marsden NHS Foundation TrustのJ.S.De Bono氏が詳細を第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で6月6日に報告した。

 ホルモン療法抵抗性で転移性の前立腺癌に対する第一選択はドセタキセルである。しかし、患者がドセタキセルに反応しなかった場合、またはドセタキセル非忍容だった場合には、その後の治療選択は非常に難しい。

 新たな半合成のタキサン系薬剤であるカバジタキセルは、既存のタキサン系薬剤に対する抵抗性を獲得した癌細胞や動物モデルに有効であることが示されている。

 De Bono氏らは今回、ドセタキセル治療後に進行したホルモン療法抵抗性の転移性前立腺癌患者に対するカバジタキセルの有効性と安全性を評価した国際的なフェーズ3試験であるTROPIC試験で、2010年3月10日までに得られたデータを分析した。

 この試験が対象としたのは、全身状態を示すECOG performance statusが0-2で、臓器の機能は維持されており、ドセタキセル投与歴を有し、累積用量は225mg/m2以上で、治療中または治療終了後に進行が見られた患者。

 2007年1月から2008年10月までに755人の男性(年齢の中央値は68歳、84%が白人)を登録、無作為にミトキサントロン12mg/m2(377人、年齢の中央値は67歳)またはカバジタキセル25mg/m2(378人、68歳)に割り付け、3週ごとに投与した。全員に10mg/日のプレドニゾンを経口投与した。

 主要エンドポイントは全生存期間、2次エンドポイントは無増悪生存期間、奏効率、増悪までの時間、安全性などに設定。分析はintention-to-treatで行った。

 先に投与されたドセタキセルの総量の中央値は、カバジタキセル群が576mg/m2、ミトキサントロン群は529mg/m2だった。また、最後にドセタキセルを投与してから進行が見られるまでの期間の中央値は0.80カ月と0.70カ月と短かった。

 割り付け後、カバジタキセル群では中央値6サイクル、ミトキサントロン群では4サイクルの治療が行われた。相対的用量強度は同等だった。

 カバジタキセル群の生存期間はミトキサントロン群より有意に長かった。中央値は15.1カ月と12.7カ月で、ハザード比0.72(95%信頼区間 0.61-0.84、p<0.0001)。

 ベースラインの危険因子によって患者を層別化しサブグループ解析を行った。多変量解析の結果は、全生存期間におけるカバジタキセルの利益はどのグループにも一貫していることを示した。

 無増悪生存期間の中央値はカバジタキセル群2.8カ月、ミトキサントロン群1.4カ月でハザード比は0.75(95%信頼区間 0.65-0.87、p=0.0002)。

 奏効率、増悪までの時間もカバジタキセル群で有意に良好だった。

 グレード3/4の有害事象で最も多かったのは好中球減少症で、カバジタキセル群の81.7%、ミトキサントロン群の58.0%がこれを経験した。グレード3/4の発熱性好中球減少症はそれぞれ7.5%と1.3%だった。あらゆるグレードの下痢は46.6%と10.5%に見られた

 最終分析時点で585人が死亡していた。両群の死亡率は、カバジタキセル群が72.8%、ミトキサントロン群の81.9%。増悪による死亡はそれぞれ58.5%と71.2%だった。

 ホルモン療法抵抗性の転移性前立腺癌でドセタキセルが有効でなかった患者に対する生存利益が示された治療は、カバジタキセルが初めてとなる。De Bono氏は、好中球減少症や下痢などの有害事象については予防的な管理が必要だと述べた。