アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤による治療歴がある、局所進行もしくは転移性乳癌に対し、エリブリンは効果があり、安全に投与できることが日本のフェーズ2試験で明らかになった。6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、愛知県がんセンターの岩田広治氏が発表した。

 エリブリンは、エーザイが創製した新規化合物で、タキサン系抗がん剤とは違い、微小管の伸長を阻害することによって細胞周期を停止させる。今年3月、同社は局所進行・転移性乳癌を適応として、日本、米国、欧州で承認申請を行っており、日本での申請にはグローバルで実施されたフェーズ3試験と今回のフェーズ2試験のデータが用いられた。

 フェーズ2試験は、局所進行もしくは転移性乳癌で、アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤による治療を受けた経験のある患者を対象とした。エリブリン(1.4mg/m2)を3週間おきに第1日、8日に投与した。

 84人が登録され、22施設の81人に治療が行われた。ER陽性もしくはPgR陽性の患者が52人(65%)、HER2/neu陽性が9人(11.3%)、ER陰性・PgR陰性・HER2陰性のトリプルネガティブの患者が22人(27.5%)だった。

 前治療数の中央値は3回。アントラサイクリン系抗癌剤およびタキサン系抗癌剤による治療は全員が、カペシタビンによる治療は57.5%の患者が受けていた。

 主要評価項目であるエリブリンの奏効率は21.3%(95%信頼区間 12.9-31.8)で、完全奏効(CR)は0人、部分奏効(PR)は17人、病勢安定(SD)は30人。クリニカルベネフィット(CR+PR+6カ月以上のSD)は27.5%だった。

 サブグループ解析では、ER陽性/PgR陽性の患者の奏効率は23.1%、HER2/neu陽性が22.2%、トリプルネガティブでは13.6%だった。岩田氏は「アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤による治療後の患者さんでも、良い奏効率が得られた」と話した。

 また奏効期間の中央値は119日で、無増悪生存期間(PFS)の中央値は112日、全生存期間(OS)の中央値は331日、6カ月PFS率は20.1%、6カ月生存率は72.3%、1年生存率は45.4%であった。

 主なグレード3/4の毒性は好中球減少が95.1%、白血球減少が74.1%、発熱性好中球減少が13.6%、リンパ球減少は12.3%。またグレード3の末梢神経障害は3.7%に発生したが、グレード4はなかった。いずれも管理可能で、エリブリンの忍容性が認められた。