酢酸オクトレオチド徐放剤を投与されている進行した神経内分泌腫瘍(NEC)の患者に対して、血管新生阻害作用のあるマルチキナーゼ阻害剤パゾパニブ(GW786034)を追加したところ、膵内分泌腫瘍(pNET)患者では病変の縮小が認められ、カルチノイド患者、pNET患者ともに無増悪生存期間(PFS)が良好だったことが分かった。多施設前向きフェーズ2臨床試験の結果で、米University of Texas M. D. Anderson Cancer CenterのA. T. Phan氏が、6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2010)で発表した。

 パゾパニブは、VEGF受容体(VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR-α/β)、c-kitのチロシンキナーゼを阻害する血管新生阻害剤だ。米国では2009年10月に腎細胞癌に対して承認されている。

 NET細胞は血管内皮増殖因子(VEGF)とその受容体を発現し、それらの発現が腫瘍の転移能力や無増悪生存期間(PFS)の悪化と相関することが分かっている。進行したNETに対する治療選択肢は限られているが、近年では細胞増殖抑制作用のある酢酸オクトレオチド徐放剤の使用が推奨されている。このような背景から、Phan氏らの研究グループは、酢酸オクトレオチド徐放剤を既に使用している進行NETに対するパゾパニブ追加投与の効果と安全性を評価した。

 試験の対象は、ECOG PSグレードが0〜1で、中ないし低分化型の進行したカルチノイドまたは膵神経内分泌腫瘍(pNET)の患者のうち、2カ月以上にわたって酢酸オクトレオチド徐放剤を投与されている例とした。VEGF阻害剤やVEGF受容体阻害剤を過去に投与された患者は除外した。

 このフェーズ2臨床試験は2つのステージで構成されており、まずステージ1として、カルチノイド患者とpNET患者の各20人に対して酢酸オクトレオチド徐放剤とパゾパニブ800mg/日の併用を12週行った。その結果、カルチノイド群では1人以上、pNET群では3人以上で部分奏効(PR)以上の効果が認められた場合に、ステージ2として患者を30人まで増やした。

 カルチノイド群ではステージ1の20人でPR以上の効果が認められなかったため、ITT解析対象例は20人だった。一方、pNET群ではステージ1で3人にPRが認められ、ITT解析対象例は31人となった。

 試験の結果、主要評価項目とした奏効率はカルチノイド群では0%であり、内訳はCR 0人、PR 0人、一部奏効(MR)4人、安定(SD)14人、進行(PD)3人、不明3人だった。一方、pNET群の奏効率は19%(31人中6人)であり、内訳はCR 0人、PR 6人、MR 21人、SD 3人、PD 3人、不明1人だった。

 PFSの中央値はカルチノイド群12.0カ月、pNET群14.2カ月で、6カ月時点の無増悪生存率はそれぞれ68%、81%だった。また、全生存期間はカルチノイド群19.6カ月、pNET群25.6カ月で、1年時点の全生存率はそれぞれ75%、71%だった。

 また、機能CTを用いて腫瘍血流を評価できた15人の27病変における12カ月時点の血流パラメーターは試験開始時と比較していずれも低下しており、血流量が25%、血液量が39%、平均通過時間が10%、透過性表面積が28%の低下だった。

 51人のNEC患者において発生率の高かったグレード3/4以上の副作用は、高血圧(14%)、倦怠感(10%)、顆粒球減少(8%)、下痢(6%)、ALT高値(6%)、AST高値(6%)、TG高値(6%)だった。

 他のチロシンキナーゼ阻害剤であるスニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブのNEC患者を対象にした臨床試験では、奏効率と6カ月時点の無増悪生存率について、カルチノイド患者でそれぞれ2%/73%、0%/68%、10%/40%、pNET患者で11%/70%、19%/81%、10%/61%という成績が得られている。Phan氏は、これらの成績を考慮した上で、今回の併用療法ではpNETにおける奏効率とNET全体でのPFSに関して良好な成績が得られたと結論している。