マルチキナーゼ阻害剤のlinifanibは、スニチニブによる治療が不成功だった進行性腎細胞癌に抗腫瘍活性を示し、有害事象は他のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)と同様に軽度から中等度で、投与量の減量や中断、医療介入で管理可能と考えられることがフェーズ2試験で示された。6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、米The University of Texas、MD Anderson Cancer CenterのNizar M Tannir氏が発表した。

 linifanibは血管内皮細胞成長因子(VEGF)および血小板由来成長因子(PDGF)の受容体チロシンキナーゼ(RTK)を選択的に阻害するマルチキナーゼ阻害剤である。フェーズ1試験でlinifanibは腎細胞癌などの進行性の固形腫瘍に強い抗腫瘍活性を示す結果が示され、フェーズ2試験の推奨用量は1日あたり0.25mg/kgとされている。

 Tannir氏らは、スニチニブによる治療歴がある進行性腎細胞癌患者における有効性と安全性を評価するため、単群、オープンラベル、多施設共同のフェーズ2試験を実施した。

 linifanibは0.25mg/kgを1日1回経口投与し、進行または忍容不能な毒性が出現するまで継続した。

 有効性に関する主要評価項目はRECISTを用いた奏効率とし、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存率(OS)、無増悪期間(TTP)とした。

 2007年8月から2008年10月までに、米国およびカナダの12施設から局所再発性または転移性の腎細胞癌患者53人(年齢中央値61.0歳、男性42人)が登録された。過去に受けた全身療法の数は、1つが49%、2つが19%、2つ以上が19%であった。スニチニブの他に受けた治療としては、サイトカイン療法が23%で最も多かった。過去に受けたスニチニブの奏効率は13.2%だった。

 奏効率は、中央の画像評価では9.4%、各施設での評価では17.0%であった。PFSおよびTTPの中央値は、中央の評価ではいずれも5.4カ月、各施設の評価ではいずれも5.8カ月となった。OSの中央値は13.3カ月だった。また、15人の患者ではベースラインとday15にダイナミック造影MRI(DCE-MRI)を撮影し、73%の患者に血管透過性(Ktrans)の40%以上の低下を認めた。
 
 患者の20%を超える割合でみられたlinifanibに関連する有害事象は、疲労感と下痢が73.6%、高血圧60.4%、悪心52.8%の順に多かった。患者の85%にlinifanibに関連するグレード3または4の有害事象を認め、最も多かったのは高血圧で34%、疲労感25%、下痢21%が続いた。

 linifanibの投与を中断したのは87%、減量は68%であった。中断の理由として、下痢28%、手足症候群25%、疲労感21%などが多かった。減量の理由として、疲労感17%、下痢・高血圧・手足症候群が各13%だった。

 38人が進行により、8人は有害事象により、3人はその他の理由により、linifanibによる治療を中止した。linifanibに関連する有害事象で死亡した患者はいなかった。