抗癌剤の国内シェア第1位である中外製薬。今回、社長の永山治氏が米国臨床腫瘍学会(ASCO)に初めて参加した。日本の大手製薬企業のトップに、ASCOの印象を聞いた。

--ASCOに参加された理由は何ですか。
 専門家の集まりですから、私のような文系の人間が参加することはないと思っていました。しかし、中外製薬もオンコロジーを中心とする会社になりましたので、世界のトレンドを知っておかなければいけない、そのためにはASCOが一番だと考えたのです。

--ASCOに参加されての感想はいかがですか。
 専門性が高く、中々手に負えないという感じはしましたが、一方で専門家がいろいろな議論をしているのをとても興味深く拝見しました。これまで癌領域はそれほど市場が大きくはありませんでしたが、今は世界の多くのトップ企業がこの領域を強化しています。Roche社も中外製薬も負けてはいられません。

--日本発の開発品の発表が少ない印象です。
 これからではないでしょうか。日本製薬工業協会に参加する多くの企業が、これからは癌だと言っています。中外製薬でも外部には公開していませんが、早期開発段階の製剤に癌のものが増えています。

--競争が激しくなる中で、中外製薬の強みは何でしょうか。
 1つは抗体技術だと考えています。今でこそ癌に対する製剤の1分野になっていますが、抗体については早期から研究しており、一日の長があると考えています。また、これからはエピゲノムの情報を活用したり、低分子化合物の開発も重要になりますが、目の付け所という点でうちの研究所は自信を持っています。