トラスツズマブによる治療歴がある局所進行性または転移性の乳癌患者において、トラスツズマブ-DM1ペルツズマブの併用は、安全性、忍容性、有効性が期待できる治療であることが、フェーズ1b/2試験から示された。6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、米Indiana University Melvin and Bren Simon Cancer CenterのKathy. Miller氏が発表した。

 抗HER2モノクローナル抗体のトラスツズマブに細胞傷害活性を持つ化合物DM-1を結合させたトラスツズマブ-DM1は、集中的な前治療を受けたHER2陽性転移性乳癌患者における有効性と良好な安全性がフェーズ2試験で示されている。

 一方、抗HER2抗体ペルツズマブは、トラスツズマブとは異なる部位に結合し、HER2がHER1やHER3などヘテロ二量体を作ることを阻害する。HER2陽性異種移植片モデルでは、トラスツズマブ-DM1とペルツズマブの併用による抗腫瘍活性の相乗効果が認められている。

 Miller 氏らは、HER2陽性の局所進行性乳癌または転移性乳癌でトラスツズマブによる治療歴がある患者を対象とした、3+3デザイン、単群のフェーズ1b/2試験(TDM4373g)を実施し、トラスツズマブ-DM1とペルツズマブの併用の安全性と有効性を検討した。

 トラスツズマブ-DM1は、コホート1では3.0mg/kg、用量制限毒性(DLT)がなければコホート2では3.6mg/kgを静脈内投与した。ペルツズマブはサイクル1では840mg、サイクル2以降は420mgを静脈内投与した。

 67人が登録され、うち再発乳癌は45人、新たに診断されたHER2陽性乳癌は22人であった。安全性解析は、トラスツズマブ-DM1とペルツズマブの併用を1サイクル以上受け、かつ安全性のデータが入手可能だった再発乳癌の44人(年齢中央値55.5歳)を対象とした。この44人が前治療で投与を受けた薬剤数の中央値は8種であった。

 用量増加のフェーズ1では再発乳癌の9人を対象とした。コホート1の3人にDLTは認められなかった。コホート2の3人中1人にDLTとしてグレード4の血小板減少症を認め、この患者ではトラスツズマブ-DM1を2.4mg/kgに減量したが、コホート2を6人に増加しても、さらなるDLTは認めなかった。したがって、3.6mg/kgをフェーズ2の用量とした。フェーズ2では、再発乳癌と新たに診断されたHER2陽性乳癌の患者全員を対象とした。

 再発乳癌で4サイクル以上治療を継続した28人の有効性をみると、完全奏効(CR)0、部分奏効(PR)10人(35.7%)、安定13人(46.4%)、進行4人(14.3%)、不明1人(3.6%)だった。

 安全性については、今日までにグレード5の有害事象として肺炎が1人に発現したが、患者は癌の進行により死亡した。グレード4の有害事象として、DLTが報告された1人を含む2人に血小板減少症が発現した。

 計6人で有害事象による薬剤の減量が必要となった。減量を要した有害事象は、グレード4または1〜2の血小板減少症、グレード2の好中球減少症、グレード3の悪心・嘔吐、グレード3のALT・ASTの上昇などであった。1人はグレード3の左室機能不全により投与を中止した。

 血小板減少症やALT・ASTの上昇は一過性で可逆性のものが多く、トラスツズマブ-DM1単剤でみられる毒性よりも高い頻度での発現はみられなかった。