新規化学療法のSMILE療法(ステロイドのデキサメタゾンとメトトレキサート、イホスファミド、L-アスパラギナーゼ、エトポシド)は、新たに診断されたステージIV、再発性または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)に有効な治療と考えられることが、フェーズ2試験の結果から示された。6月4日から8日までシカゴで開催されている第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO2010)で、三重大学医学部附属病院血液内科の山口素子氏が発表した。

 ENKLは全悪性リンパ腫の中でも稀なタイプで、標準療法は確立されていない。ENKLに対するCHOP療法(ビンクリスチン+ドキソルビシン+シクロホスファミド+プレドニゾロン)の有効性は限られ、全奏効率は新たに診断されたステージIVのENKLで36%、再発性または難治性のENKLでは10%に過ぎない。

 山口氏らは以前に、SMILE療法のフェーズ1試験で有望な結果が得られたことを報告している。新たに診断されたステージIV、再発性または難治性のENKLに対するより有効な化学療法を開発するため、今回山口氏らはSMILE療法のフェーズ2試験を実施した。

 対象は、2007年7月から2009年10月までに登録された39人(男性21人、年齢中央値47歳)。目標登録数は38人であった。新たに診断されたステージIVの患者は21人、初回再発の患者は14人、原発性で難治性の患者は4人だった。

 SMILE療法では、メトトレキサート2g/m2をday1、デキサメタゾン40mg/日をday2〜4、イホスファミド1500mg/m2をday2〜4、L-アスパラギナーゼ6000U/m2をday8から1日おきにday20まで、エトポシド100mg/m2をday2〜4に投与し、ロイコボリンとメスナ(イホスファミドによる膀胱障害を抑制)もday2〜4に投与した。28日を1サイクルとした。さらに骨髄毒性緩和のため、フェーズ1試験の結果に基づき、夥粒球コロニー刺激因子(G-CSF)をday6から白血球数が5000/mm2を超えるまで投与した。

 試験の主要評価項目はSMILE療法2サイクル施行後の全奏効率、副次的評価項目は完全寛解(CR)の割合、1年全生存率(OS)、毒性、サブグループの奏効率とした。

 グレード5の感染症で患者が2人死亡したため、感染症の規定に関するプロトコールの改訂を行い、「リンパ球数500mm2以上」を適格基準に加えた。その後、治療関連死亡は認められなかった。

 全奏効率は74%(90%CI:60〜85%)だった。CRは15人(38%)、部分寛解(PR)は14人、奏効なし4人、進行3人、早期死亡3人だった。

 サブグループで奏効率をみると、CRは初回再発の患者で10人と最も多く、PRは新たに診断されたステージIVの患者で11人と最も多かった。

 多かった有害事象として、血液毒性では、グレード4の好中球減少症が36人(92%)に発現した。非血液毒性では、グレード3と4の感染症が16人(41%)と5人(13%)に発現した。SMILE療法中は骨髄抑制と感染症を慎重に管理する必要がある。

 1年全生存率の解析は今年10月に行われる予定である。