米Duke University Medical CenterのKimberly L. Blackwell氏

 HER2陽性の転移性乳癌に対し、ラパチニブトラスツズマブの併用は、ラパチニブ単剤に比べて、生存を有意に26%改善することが無作為化フェーズ3試験(EGF104900)で明らかになった。12月9日から13日まで米サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムSABCS 2009)で、米Duke University Medical CenterのKimberly L. Blackwell氏(写真)が発表した。

 ラパチニブもトラスツズマブもHER-2受容体を標的とする分子標的薬だが、HER-2シグナル経路において作用する部位が違うため、2剤を併用して二重にHER-2を遮断することによって、より高い効果が期待されていた。前臨床試験では、ラパチニブとトラスツズマブの併用で相乗的な抗腫瘍効果が確認されている。

 フェーズ3試験は、HER2陽性(FISH+/IHC 3+)の転移性乳癌で、アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤の治療経験があり、トラスツズマブによる前治療で進行した患者296人を対象に、ラパチニブ(1500mg/日)の単剤群と、ラパチニブ(1000mg/日)とトラスツズマブ(週に2mg/kg)の併用群に割り付けた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存、奏効率、臨床利益率とした。

 年齢中央値は単剤群が51歳(29〜78歳)、併用群は52歳(26〜81歳)、前治療としてのトラスツズマブ投与から試験までの期間の中央値はそれぞれ25日、27日で、ホルモン受容体陰性(ER陰性もしくはPgR陰性)の比率は両群ともに51%であった。また治療開始から4週間以降で、ラパチニブ単剤群で病勢進行が認められた場合は、併用群へのクロスオーバーが認められた。ラパチニブ単剤群の52%(148人中77人)は併用群に移行し、このうち4週目に移行したのは27%(20人)、8週目は27%(20人)、8週目以降は46%(37人)だった。

 これまでに、ラパチニブとトラスツズマブの併用はラパチニブ単剤に比べて、PFSを有意に延長し、6カ月PFS率は併用群が28%、単剤群が13%で、全生存期間は2.9カ月長いことが報告されている。今回の発表では最新の解析データが発表された。

 最新データでは、ITT(Intention-to-Treat)解析で、併用群の生存期間中央値は14カ月で、単剤群は9.5カ月であり、ハザード比は0.74(95%信頼区間;0.57-0.97)、p値は0.026と有意な延長が認められた。6カ月生存率は併用群が80%、単剤群は70%、1年生存率はそれぞれ56%、41%だった。また、併用による生存改善効果は、年齢やホルモン受容体の状態、前治療のレジメン数などのベースラインの予後因子で補正しても維持され、ハザード比は0.71(95%信頼区間;0.54-0.93)、p値は0.0116だった。

 有害事象の発生率は2群間でほぼ同じで、発生率が10%以上の有害事象のほとんどはグレード1/2であり、主な有害事象は、下痢、悪心、皮疹、倦怠感、嘔吐だった。なお下痢は併用群で多かった。また重篤な有害事象(グレード3以上の左室機能不全もしくは左室駆出率の20%以上の低下)はそれぞれ10人、3人に見られたが、グレード3/4の心イベントは3人、1人で、「併用による忍容性は認められる」とした。

 ラパチニブは国内では2009年6月に発売されており、HER2陽性乳癌で、アントラサイクリン系抗癌剤、タキサン系抗癌剤、およびトラスツズマブによる化学療法後の増悪または再発の患者に対し、カペシタビンとの併用療法として用いられる。