英Queen Mary University of LondonのJack Cuzick氏

 原発性乳癌において、免疫組織化学法(IHC)によるスコア(IHC4スコア)は、リンパ節転移陽性例・陰性例ともにリンパ節転移の状態、腫瘍の大きさ、グレード、年齢、治療とは独立した重要な予後の情報を提供し、GHI再発スコア(GHI-RS)と同等量の情報を提供することが分かった。英Queen Mary University of LondonのJack Cuzick氏(写真)が、12月9日から13日まで米サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムSABC 2009)で発表した。

 Cuzick氏らは最近、21種の遺伝子の発現量から得られるGHI-RSについて報告している。GHI-RSは遠隔転移に関する情報を提供するが、ATAC試験(Arimidex, Tamoxifen, Alone or in Combination trial)で用いられた臨床的な予後予測の変数(リンパ節転移の状態、腫瘍の大きさ、グレード、年齢)は含まない。ATAC試験では、ER+の原発性乳癌で化学療法を受けていない患者1231人を対象に、術後補助療法としてアナストロゾールとタモキシフェンを投与し比較している。

 一方、IHCによるマーカーも、予後についての情報を提供することが分かっている。

 しかし、これら2つの情報源から得られる相対的な情報量は不明である。そこでCuzick氏らは、ER、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2、Ki-67からなる予後予測のための「IHC4スコア」を開発し、TransATACと名付けた今回の検討において臨床的な予後予測の変数やGHI-RSと比較した。

 定量的なIHCのスコアは、ATAC試験の参加者のデータおよび検体から得た。1231人中1125人を対象とした。臨床的な予後予測因子の変数とIHCの4つの変数を用いて、比例ハザード回帰でIHC4スコアを得た。この作業は全患者とリンパ節転移陰性の患者それぞれで、再発と遠隔転移までの時間について行った。

 臨床的な予後予測因子の変数とIHC4スコアを比較すると、遠隔転移については全患者では値の差が約100開いたが、リンパ節転移がない患者では35.38と35.48で、リンパ節転移の状態に関しては匹敵する値となった。また、再発についてもリンパ節転移がない患者で値が近似していた。

 さらに、IHC4のER、PgR、HER-2、Ki67の各変数についてみると、遠隔転移までの期間は全患者でERを除いて有意に相関し、リンパ節転移がない患者ではさらに有意に相関していた。

 GHI-RSとの比較からは、 IHC4スコアで得られる予後予測に関する情報の量は、GHI-RSで得られる情報の量と同等のレベルであることが示された。

 Cuzick氏は、「今回の知見を臨床に適用する前に、独立したデータセットでの検証が必要」としている。