米Dana-Farber Cancer InstituteのMeredith M. Regan氏

 乳癌術後補助療法として、アロマターゼ阻害剤であるレトロゾール(LET)の5年投与はタモキシフェン(TAM)5年投与に比べて、生存を改善することが報告された。大規模フェーズ3臨床試験BIG1-98で再確認されたもの。米Dana-Farber Cancer InstituteのMeredith M. Regan氏(写真)が、12月9日から13日まで米サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウムSABCS 2009)で発表した。

 LET治療による生存改善効果はすでに報告されているが、TAM群の一部の患者は投与途中でLET治療に移行しており、治療効果の正確な評価が必要とされていた。そこで患者背景を考慮した統計的な手法(IPCW)によって再度解析がなされ、その結果、新たにLET治療によって生存は17%改善することが明らかになった。

 BIG1-98試験は、LETもしくはTAM単独投与の2群比較試験とシークエンシャル投与を含めた4群比較試験の2つで構成されている。2群比較試験には、1998年から2000年までに1828人が登録し、TAMを5年間投与する群とLETを5年間投与する群に割り付けられた。4群比較試験では、1999年から2003年までに6182人が登録され、TAM5年間投与群とLET5年間投与群に加え、TAM2年間投与後、LETを3年間投与する群、LET2年間投与後、TAMを3年間投与する群の4群に割り付けられた。

 これまでに、追跡期間中央値76カ月において、2つの試験に登録した単剤投与の全患者を対象としたITT(Intent-to-Treat)解析と、投与途中で薬を切り替えた時点で打ち切ったセンサード(censored)解析の結果が報告されている。

 ITT解析では、追跡期間中央値76カ月で、LET群はTAM群に比べて無病生存期間(DFS)を有意に12%改善し(ハザード比;0.88、95%信頼区間;0.78-0.99、p=0.03)、遠隔再発までの期間(TTDR)も15%改善した(ハザード比;0.85、95%信頼区間;0.72-1.00、p=0.05)。全生存(OS)は、有意ではないものの、13%改善した(ハザード比;0.87、95%信頼区間;0.75-1.02、p=0.08)。

 一方、投与期間中にTAM群の25%が患者の希望でLET投与に切り替えており、切り替えた時点で打ち切ったセンサード解析では、DFSはLET群で16%改善(ハザード比;0.84、95%信頼区間;0.74-0.95)、TTDRは19%改善(ハザード比;0.81、95%信頼区間;0.68-0.96)、OSも19%改善した(ハザード比;0.81、95%信頼区間;0.69-0.94)。

 しかし、薬の切り替えには患者背景や病状などの要素が関与している。そこで、TAM群にとどまった患者に対して、患者背景などの要素によって統計的な重みづけをするIPCW解析(Inverse Probability of Censoring Weighted Analysis)が行われた。「IPCW解析はクロスオーバー時の選択バイアスを含むITT解析よりも治療効果を適切に評価できる」とRegan氏は説明した。

 IPCW解析の結果、DFSはLET群で15%改善(ハザード比;0.85、95%信頼区間;0.76-0.96)、TTDRは19%改善(ハザード比;0.81、95%信頼区間;0.69-0.96)、OSも17%改善した(ハザード比;0.83、95%信頼区間;0.71-0.97)。このため、BIG1-98試験において、レトロゾール5年間投与はタモキシフェン5年間投与に比べて、生存を有意に改善する(p<0.05)、と結論した。