米Massachusetts General Hospital Cancer CenterのPaul E Goss氏

 初回診断時に閉経前であった早期乳癌患者において、タモキシフェン投与後にレトロゾールを投与するエクステンディッドアジュバント療法は、無病生存率(DFS)を有意に改善したことが報告された。NCIC CTGMA17試験のサブセット解析から示された。成果は、米Massachusetts General Hospital Cancer CenterのPaul E Goss氏(写真)が、12月9日から13日まで米サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウムSABC 2009)で発表した。

 NCIC CTG(National Cancer Institute of Canada Clinical Trials Group)のMA17試験では、タモキシフェンを5年間投与した後に、アロマターゼ阻害剤のレトロゾールとプラセボをそれぞれ投与した群を比較したもの。その結果、レトロゾールの投与により、エストロゲン受容体陽性(ER+)の早期乳癌患者で、再発のリスクが顕著に減少し、リンパ節転移陽性の患者の全生存期間を改善したことが示された。

 ただし、これまでのアロマターゼ阻害剤を用いるアジュバント療法に関する試験の多くは、診断時にすでに閉経している患者が対象だった。そのためGoss氏らは、MA17試験のサブセット解析を行い、試験開始前の初回診断時に閉経前でその後閉経となった患者について、アジュバント療法でレトロゾールの投与を受けた場合の転帰に影響を受ける可能性について検討した。

 MA17試験で無作為化した患者について、50歳未満でタモキシフェン投与開始時に両側卵巣摘出術を受けた場合、またはタモキシフェン投与開始時に50歳未満でアジュバント化学療法中またはタモキシフェン投与中に無月経となった場合を「閉経前」、診断時に閉経していると考えられる場合、または黄体形成ホルモン(LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)の投与で閉経の状態とした場合を「閉経後」として、2群に分けた。

 その結果、閉経前群が889人(年齢中央値約45歳)、閉経後群が4277人(同60歳)となった。

 リンパ節転移陽性、ER+かつプロゲステロン受容体陽性(PR+)、化学療法、乳房切除術の割合は、閉経前群で有意に高かった。

 閉経前群の4年間のDFSは、プラセボと比べてレトロゾールで10.1%上昇した(ハザード比;0.25、p<0.0001)。一方の閉経後群では、3.3%の上昇だった(HR;0.69、p=0.0008)。閉経前群は、閉経後群と比べて有意にDFSの上昇率が高かった(HR;0.39、p=0.02)。リンパ節転移陽性と陰性の場合について閉経前群と閉経後群を比較すると、いずれも閉経前群でレトロゾールを投与した場合にDFSの上昇率は高かった。

 安全性について閉経前群でレトロゾールとプラセボで比較すると、レトロゾールの投与により関節痛の発生率は有意に高くなったが(レトロゾール;24%対プラセボ;16%、p=0.004)、膣出血の発生率は有意に低かった(同10%対16%、p=0.01)。一方、閉経後群では、レトロゾールの投与によりホットフラッシュ、関節痛、筋肉痛、脱毛の発生率が有意に高くなった。

 ただし、閉経前群では、閉経後群よりもレトロゾールの投与でQOLに与える影響が強いことに注意が必要である。

 今回の解析では、タモキシフェン投与後に内分泌療法が行われなかった期間が6年間までであれば、DFSのベネフィットは同様に得られることも分かった。Goss氏は、「診断時は閉経前であり、タモキシフェン投与前または投与中に閉経となった患者には、アジュバント療法としてのタモキシフェンの投与と、エクステンディッドアジュバント療法としてのレトロゾールの投与を考慮すべき」としている。