久留米第一病院外科の田中眞紀氏

 アントラサイクリン系抗癌剤既治療の転移性乳癌において、カペシタビン経口シクロホスファミドの併用は、副作用が少なく、予後不良のトリプルネガティブの患者においても臨床的効果が高いことが、日本のフェーズ2臨床試験で明らかになった。久留米第一病院外科の田中眞紀氏(写真)らが12月14日、サンアントニオ乳癌シンポジウムのポスターセッションで発表した。

 カペシタビンとシクロホスファミド(XC療法)は、前臨床研究およびフェーズ1臨床試験で有効性が報告されている。また「毒性が重なり合わないため、長期の投与がしやすい」と田中氏は話す。

 そこで、フェーズ2臨床試験は、HER2陰性で、アントラサイクリン系抗癌剤既治療の進行性または転移性乳癌女性を対象に、フェーズ1臨床試験で、推薦された用量に基づき、3週置きに、カペシタビン1657mg/m2/日、シクロホスファミド65mg/m2/日を2週間、毎日投与した。試験は、病勢進行または重度の毒性が起こるまで継続された。

 2005年7月から2007年12月までに48人が登録された。ホルモン受容体(HR)のER陽性が30人、PgR陽性は23人で、転移部位は肺が14人、肝臓が20人、骨が16人、リンパ節が13人、皮膚が4人、胸膜が3人などだった。治療回数の中央値は6回(1〜7回)、副作用により休薬された患者は17人、減量は6人、毒性による投与中止は3人だった。

 抗腫瘍効果が評価できた45人において、完全奏効は2人、部分奏効が14人、安定が12人、進行が13人に認められた。主要評価項目である奏効率は、35.6%だった。HRステータスで分けると、HR陽性の奏効率は35.5%、病勢コントロール率は58.1%だが、HR陰性(トリプルネガティブ)はそれぞれ41.7%、83.3%となった。

 副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、199日(95%信頼区間115‐231日)、全生存期間(OS)は677日だった。このXC療法の成績はドセタキセルやパクリタキセルで報告されているPFSと同程度、OSは上回っている。

 グレード3以上の毒性は、好中球減少が5人、白血球減少が5人で、食欲不振が2人、吐き気が1人、嘔吐が1人、下痢が1人だった。カペシタビンに特徴的な副作用である手足症候群はグレード1が12人、グレード2が2人であり、グレード3は認められなかった。

 田中氏は、「通常、カペシタビンは3週投薬、1週休薬とするが、この試験では2週投薬、1週休薬としている。それが副作用を抑えたのではないか」と話した。また今回の結果から、予後不良といわれるHR陰性およびHER2陰性のトリプルネガティブの患者でも、HR陽性およびHER2陰性の患者と同等の臨床効果が期待できるとした。